第4節 新情勢に対応した動き

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(1)自己点検・自己評価
平成3(1991)年に文部省は大学設置基準の大綱化を実施した。この大綱化に伴い大学教育・運営における規制が緩和され、かなり自由な裁量権が大学に与えられることになった。その反面、各大学が自らの教育と運営に厳しい目を向けていく責任が課されることになった。
本学では、「愛知学泉大学自己点検・評価規程」を整備し、この規程に従って平成4年4月に「愛知学泉大学経営学部自己点検委員会」および「愛知学泉大学自己評価検討委員会」を発足させ、自己点検と自己評価に取り組むことになった。各学部で個々に点検・評価を実施するとともに、大学全体としての点検・評価を実施し公表することにした。9年3月には点検・評価報告書『愛知学泉大学の現状と課題』の「教育・研究活動編」(1992~1995)を刊行した。
平成10年度に発足したコミュニティ政策学部は、当初から、学部自己点検評価委員会(学部運営委員会が兼務)を設け、各年度末に学部の『あゆみと展望―事業計画・報告書』として結果をまとめてきた。学部完成までは、申請時に提出した設置計画の内容の実践を通しての検証という性格が強かったが、この検討の結果、平成14年度からカリキュラムの一部の手直しを行うことができた。
また、学生による授業評価アンケート調査を、7年度、10年度、12年度(後期実施)、13年度に、マークシート方式で実施した。なお、アンケート項目のなかには、「授業は教員と学生がともに作り上げていくもの」という観点から、学生自身の授業参加意欲を問う項目も入れた。10年度実施のものからは学生の生の声を聞くための自由記述欄を設けた。
12年度には、大学政策部会主催による意識調査を、在学生と卒業生を対象にアンケート方式により実施した。対在学生の調査内容は、調査対象者特性、そして教育・学生生活・施設設備の3領域での期待・満足度の調査である。家政学部在学生の回答数は361で86.9%の回収率であった。卒業生の回収率は低かったものの、在学生と卒業生の本学への意識が確認でき、今後の教育活動の貴重な資料となった。
教育・研究活動編の報告書を公表してから数年が経過し、この間に自己点検・自己評価の実施が義務化された。現在は、管理運営編を含めた、平成10年以降の全学の自己点検・評価を準備中である。

(2)入試制度とその課題
大学全入時代
大学を取り巻く全国的な環境を見ると、各短期大学の改組による大学の新設や学部改組などによる大学入学定員の大幅な増加の反面、平成7年以来、就学人口が減少して、全国的に大学間の競争が激化、志願者が減少してきた。
大学(短大を除く)数で見ると、昭和63(1988)年には公立38校、私立357校であったものが、平成12年には公立72校、私立475校と、公立大学は約2倍に、私立大学は1.33倍に増加している。
他方、平成4年と12年を比較すると、18歳人口と高卒者数はともに約50万人、ほぼ4分の1の減少を見ている。大学進学率は38.9%から51.3%へと増加しているが、18歳人口と高卒者の減少をカバーできない状況にある。
このような状況となったことが、「大学冬の時代」といわれるゆえんである。更に、これから本学が直面するのは、18歳人口の減少というような社会的現象だけではなく、いわば国家の手による戦後教育制度の変革である。大学入学定員がすでに過剰供給に達しており、各地の大学・短大で定員割れが生じているという危機的状況のなかで、国立大学の独立法人化による私立大学との競合という新たな事態が迫っている。また、私学助成の削減・重点配分という形で、政策的な大学淘汰も進められようとしている。

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各学部の状況と入試対策
●家政学部
志願者数の推移
平成6年度入試は、18歳人口の減少期に突入したことと、長引く経済不況の影響から全般的特徴として次のような状況が見られた。志願者が私大から国公立大へ流動、受験生一人当たりの受験校数の減少、地元大学志向、経済・経営・商学部の人気低迷。しかし、家政・生活科学系は全国的にも人気復活の波に乗り、加えて教員免許、栄養士免許の資格人気と相まって本学部にとって厳しい兆候はすぐには表れなかった。
本学部への志願者数の推移を平成5年度から平成13年度入試の期間で見てみると、平成5年度の591名が平成13年度には316名となり、54%減少した。
入試種別に見ると、推薦入試への志願者数は、平成5年度(59名)から、平成7年度までは増加傾向を示した。減少傾向が表れ出したのは平成8年度入試からで7年度の17%減となり、平成10年度入試では7年度の56.3%減となって志願者数が100名を割った。
試験入試への志願者数は平成5年度入試では532名であったが、6年度は5年度より7%減少、8年度では12.8%減少、9年度には37.6%減少、その後も減少傾向は衰えず、平成13年度入試では50.5%減となった。
平成14年度入試は、2専攻体制への改組と定員増というこれまでとは異なった状況下での入試であった。14年度の志願者数を、14年度定員に換算した昨年度の志願者数と比較してみると、推薦入試は、家政学専攻が約14%増、管理栄養士専攻が約29%減であった。管理栄養士専攻が減少した要因は、本学部の推薦入試は専願が出願条件であるため、他(名古屋地区)の管理栄養士養成施設大学との併願受験を希望する受験生が逃げたと考えられる。試験入試では、家政学専攻が約39%減、管理栄養士専攻が約28%増であった。
14年度入試を総括すると、管理栄養士専攻の立ち上げが、資格偏重の風潮のなかで家政学部全体に好影響を及ぼし、結果として、定員数増加にかかわらず定員割れにはいたらなかったとみている。
対応
岡崎学舎(家政学部と短大)では、募集活動を、「オープンキャンパス」「高校巡回」「入試相談」の3つの連携としてとらえてきた。オープンキャンパスにはミニ授業を取り入れて、入学前に本学部の教育理念・内容を少しでも理解してもらい、ミスマッチを未然に防止するなどの努力をしてきた。また、全教員による高校巡回を13年度から始めた。高校生が進路を決定しようとする6月から7月にかけてと推薦受験する大学を決定する9月から10月にかけての2回、これまで本学部に受験生を送ってくれた高校を主体に巡回し、入試課職員とは異なった教員の視点から本学部の特徴・魅力を説明した。また、オープンキャンパスとは別に入試相談日を10月に1回と11月の学泉祭に2日間設けた。

入試改革
平成8年度入試から推薦入試の国語基礎学力テストを廃止し常識テストとした。
平成10年度入試から昭和62年に男女共学になって以来の男子奨学生入試を廃止した。
平成12年度入試から推薦入試の出願条件を、現役、1浪可から現役および既卒者も可とした。
平成13年度入試から1期入試で連続受験を可能にするためAB方式をなくし一本化した。また志願者の多様な能力を見るのに学力だけではなく意欲など幅広く見ようと、推薦入試のこれまでの出願条件の評定3.2を外した。
平成15年度入試からセンター入試を利用した。また、本学部で初めて専攻ごとに募集目的と合致した指定校推薦を導入。その他に家政学専攻のみクラブ指定推薦を導入した。

●経営学部
昭和62年の本学経営学部設立当時は、この地方に経営学部が少なく、高い競争倍率のもとに発展してきた。しかし、その後、18歳人口の減少と近辺に類似学部・学科が増えるなかで、競争は激化した。平成5年には5,343名の志願者があったが、この年を境に減少傾向が続いた。その後、コミュニティ政策学部が新設された10年には、相乗効果的に増加したが、その後は減少が続いている。
志願者数の減少が、その出身地域の縮小も伴っている。志願者数が最も多かった3年度には東海4県の出身者は79.9%であったが、7年度には82.3%、13年度には88.6%へと上昇している。これは志願者数の減少とともに、遠隔地からの志願者が減って、全国区的な性格が薄れていることを示している。この背景には、平成不況の長期化・深刻化のなかで全国的に地元志向が強まっていることがある。しかし、それにもまして求心力の弱さが生じていることは否めない。
こうした状況に対応するために、本学の入試はその方法を改善かつ多様化してきた。7年度入学試験は、系列高校入試を除き、推薦入試、一般入試一次、一般入試二次の3種類だったが、現在では、A・O(アドミッション・オフィス)入試的意味合いを持つ自己推薦入試、推薦入試、一般入試1期前期・後期、一般入試2期前期・後期、センター試験利用入試前期・後期と入試の種類と日程を大幅に増やし、入試が通年化している状況となった。
募集方法も学術雑誌への掲載、新聞広告、高校訪問、大学展などの進学懇談会出席をはじめ、高校内で行われる代理店主催の進学説明会への出席、オープンキャンパスの回数の増加、インターネットにおける大学ホームページの開設、携帯電話でのiモード情報の提供など、考えられる方策はすべて取れ入れ、年間を通じて募集のための広報活動を行っている。

●コミュニティ政策学部
コミュニティ政策学部は、新時代の要請に応えた新しいコンセプトの学部として平成10年4月に開設された。それに先立つ入試では、定員190名に対して644名の志願者を集めた。コミュニティ政策学部というなじみのない学部の初年度入試としてはまずまずの志願者数であった。また、県内外からだけではなく、韓国・中国・台湾・ベトナムなどから留学生の志願者も集まった。
しかし、その後の入試をめぐる状況は年々厳しさを加えることになった。18歳人口の減少は単なる減少にとどまらず、有名大学の難易度の低下を招いた。また、コミュニティ政策学部という学部は、まだまだ受験生や高校側の理解を十分に得られなかった。そのため、コミュニティ政策学部でも、志願者の減少、出身高校・出身地域の縮小などが、経営学部以上に大きく問題化してきた。
これに対して、コミュニティ政策学部では、他学部、とりわけ経営学部と共同歩調をとり、さまざまな入試方式を行うことで対応してきた。特に自己推薦入試は、ボランティアなど、地域活動に興味を持つ受験生を対象として初年度から行ってきた入試であった。
また、コミュニティ政策学部の場合、コンセプトを受験生や高校側に理解してもらう必要が他学部以上にあった。そのため、来るべき21世紀を「コミュニティ世紀」と位置づけ、そのなかで「コミュニティ世紀のプロデューサー」養成を課題にするという方向を明確にうちだした。そして、それに基づくパンフレットを作るなどして、宣伝に努めた。また、県内を中心に、毎年、教員が高校訪問を行っている。
更に、そうしたなかで資格についての要望がさまざまな形で寄せられたので、学部として、コミュニティ診断士・ボランティア実務士・社会調査実務士などの資格取得が可能となる体制を作りつつ、広報活動を展開している。まだ、その効果は明確な形では表れておらず、よりいっそうの努力が必要である。

待ったなしの大学改革
私学の定員割れはもはや一般化してきており、近い将来学部閉鎖や大学の統合・倒産は避けられない状況となりつつある。国立大学でさえ、多くの大学が生き残りをかけて統合や再編を計画している。当然私学では、各大学とも生き残りをかけた改革を実施してきている。主な流れとしては、短大の大学昇格、環境・福祉関連など時代に即した新しい学部の開設、カリキュラム改革、教員の任期制の導入、大学院の設置や拡充強化、また、社会人を対象とするための都市部でのサテライトキャンパスの設置、留学生の受け入れの拡充、IT教育の充実やe―ラーニングによる通信教育の展開、奨学金制度の充実、評価制度の導入などである。各大学ともその特色を強化し、新たな魅力を創設するなど、多様化や集中による戦略的展開に余念がない。
また、入試対策としては、受験生の減少や退学者の増大などから、高校時代の勉強の成果や能力判定である試験入試にとらわれず、将来の目標や勉学意欲などを重視して随時の面接で合格を決定する入試方法もとられるようになった。
経営学部においては、少人数教育によるきめの細かい指導、実務経験の豊富な教授陣による実践教育の展開、外国経験豊富な教授陣による外国語や国際教育の実施、充実した情報教育などを特色とし、また愛知県下では南山大学に次いで伝統のある学部である特徴を生かしての同窓会の就職支援などさまざまな強みを発揮してきた。しかし、競合大学のスピーディーかつ大胆な新政策の展開によって、その競争力が徐々に低下してきた。そのため、新たな改革としてコースおよびセメスター制の導入、カリキュラムの抜本的な改革、インターンシップ制度の導入、クラブ活動の活性化、学泉塾の展開などを図ってきた。

総合的競争戦略の展開―教育の砦を守るために―
いかに崇高な理念を掲げようと、いかに伝統があろうと、いかに教育情熱があろうと、受験生を確保できなければ教育の夢は果たせない。各学部が学園のめざす理念や伝統を受け継ぎ、建学の精神に沿った人材を輩出していくためにも、教育・研究の成果を確保し、高校から尊敬を受け、また地域から支持されるという、目に見える社会的評価の向上が不可欠である。
総合戦略として重要な要因には、大学や学部の将来ビジョン、それに基づく教育内容と指導、就職、クラブ活動などの大学生活、地域との関係、これらを展開する教授陣と事務サポート、教育やクラブ関係の施設、更には大学の規模や地理的な問題などもある。また、学生が充実した学生生活を送るとともに、自身が成長し、ビジョンや目標が達成できているという実感を持てるようにすることが重要である。能力に応じた指導や将来の進路指導、クラブ活動の支援など、きめの細かさが問われている。目に見える華やかな戦略だけでなく、日常の地道な指導も重要な総合戦略の一貫としてとらえていかなければならない。学生の日常的不満は、ただちに彼らの出身高校にフィードバックされ、志願者の減少に直結しかねない。
もとより、将来に向けて入試方法の更なる改善・多様化、AO入試の強化、入試広報活動のいっそうの強化などを図る必要がある。しかし、基本的には大学の総合的評価の向上を入試政策そのものとみて、全学を挙げて総合戦略を策定しその実現を図っていくことが必要であり、入試広報活動はその一部を担うものとして位置づけていくようにしなければならない。

(3)家政学部定員の調整
臨時定員の期間の延伸
家政学部では平成3年度から10年度まで、恒常定員50名に加えて臨時定員30名の入学定員増加を行ったが、愛知県三河地区から静岡県西部にかけての地域に、本学と同系列学部がない環境と高等学校新規卒業生の大学への進学率上昇に対応するため、更に臨時定員の期間を11年度まで延伸、それに伴い学則付則2を変更することにした。10年9月30日付で文部大臣宛に「愛知学泉大学期間付き入学定員関係学則変更認可」の申請を行い、同年12月に許可が下りた。

臨時定員の恒常化
本大学の期間を付した入学定員(臨時定員)の廃止に伴う収容定員の増加にかかわる学則の変更が、平成11年10月22日付で文部大臣より認可された。その結果、家政学部家政学科の入学定員は80名となり収容定員は320名となった。変更時期は12年4月1日であった。

2専攻体制に向けての収容定員の増加
平成14年度から、大学の設置等の認可の申請手続等に関する規則第3条第2項(同一設置者内の大学・短期大学の入学定員の増加を伴わない範囲の収容定員の変更)に基づき、学校法人安城学園が設置する愛知学泉短期大学の生活科および国際教養科の入学定員を減員し、家政学部家政学科の入学定員に振り替えるとともに教育上の目的を達成するため、学生の履修上の区分に応じた2専攻体制「[家政学専攻:定員60名 収容定員240名]と[管理栄養士専攻:定員80名 収容定員320名]」とするため、愛知学泉大学学則第3章「修業年限および定員」第4条を改正し、平成13年7月、文部科学省に対し学則変更の認可を申請した。これに対し、平成13年10月30日付で文部科学大臣より認可が下りた。

(4)カリキュラムの改革
経営学部カリキュラムの再編成
平成5年度の経営情報学科増設に伴って、既存の経営学科のカリキュラムも全面的に改定されることとなった。
新学科の増設は、経営学科の設立後6年を経た間に、高度情報化のいっそうの進展の結果として労働市場における情報サービス要員の不足が顕在化し、とりわけ地域社会における情報技術者の養成が急務であると痛感したことによる。特に、経営学部における経営情報学科という性格上、システム・プランナーならびに情報の統括・管理者の養成を図ることを目的とした。そのために、システム開発モデルならびに情報管理モデルの2つを示し、履修指導を行うことにした。
経営情報学科のカリキュラム編成は、文部省の大学設置基準大綱化に沿って編成することになり、既存の経営学科のカリキュラムもこれに合わせて3分類の形で改正することにした。

●カリキュラムの3分類
従来の一般教育と専門教育の区別をなくし、4年間を一貫した体系にするために、全科目を基礎科目群、基幹・関連科目群、専門・応用科目群の3分類とした。これは科目の種類による分類でなく、基礎から基幹・関連を経て専門・応用にいたるまでの科目の体系的・連続的教育を意図したものである。
基礎科目群は、基幹・関運科目群ならびに専門・応用科目群の各科目を履修するのに必要な基礎的、入門的科目として位置づけられる。他方、専門・応用科目を修得するうえで必要な、幅広い教養と豊かな人間性に支えられた人格形成のための科目を配している。
基幹・関連科目群は、基礎科目群と専門・応用科目群の中間に位置づけられ、両科目群の橋渡し的な役割を果たすことになる。この科目群において、経営学ならびに隣接分野における基本的な科目を学習する。また、専門・応用科目群の履修に必要な基本知識の修得と、学際的諸問題に対応する能力を身に付けることをめざしている。
専門・応用科目群は、基礎科目群ならびに基幹・関連科目群の履修を前提にしてあるいは並行して、経営学およびその周辺領域の専門科目の学習とその応用、分析に必要な能力をつけることをめざす。

●4年間一貫教育体制の確立
4年間の一貫教育の柱は、語学教育とゼミナールに代表される。従来、語学教育は1~2年生で履修されるようになっていたが、これを4年間にわたって履修可能なものとした。
第二の柱は、基礎から専門・応用にいたる科目の連続性の活用である。たとえば、英語、アメリカ学概論、国際経済学、アメリカ学特論のような科目のつながりによる教育の一貫性である。

●少人数教育の強化
経営学部が開設以来重視してきた少人数教育の中心となる演習については、1年次から4年次まで必修科目とした。1年次の基礎演習は、広い教養、学問への関心、学習の方法などを身に付けさせるものとして、全教員が担当する。演習Ⅱ、Ⅲ、Ⅳは連続して同一教員が担当し、その成果を卒業論文に結実させることにした。また、演習以外に講議科目に連続する演習科目を置き、情報機器を使用した少人数の実習を兼ねた実践的な科目も配置した。

●教育科目の拡充
経営情報学科の設立を機会に、教育科目を大幅に拡充した。同学科の専門・応用科目群の教育科目は、経営科学、計算機科学、経営情報学の3分野とし、経営学科における専門科目の科目数も大幅に増やした。また、経営学科も国際化や情報化の進展、地域社会の要請など時代の要請として、新しく必要視される科目を増やし、カリキュラムに重みを持たせた。

平成12年度のカリキュラムの全面改正とその特徴
●家政学部カリキュラム改革
カリキュラムの改正・整備
平成10年7月1日改正施行の教育職員免許法等の一部改正に伴い、平成11年に学則の第4章「授業科目および単位数」の第6条の家政学部の授業科目および単位数を、また学芸員および社会教育主事に関する科目および単位数を改正した。平成12年4月1日より実施。
カリキュラム改正の理由は次のとおりである。1、変化の時代に生きる能力を育てる(国際化、情報化の進展を踏まえる)ため、「日本国憲法」「体育」に加え、「外国語コミュニケーション」「情報機器の操作」が必修化された。2、「教職に関する科目」の充実が重視され、中一種免許が19単位から31単位へ、高一種免許が19単位から23単位へそれぞれ増加した。また、得意分野づくりや個性の伸長を進める観点から選択履修枠として「教科又は教職に関する科目」が新規に義務づけられた。更に、子どもとのふれあい、福祉、ボランティアなど体験にかかわる科目が奨励され、教授法としては体験や演習が重視された。
その他、文部科学省の指導・助言および大学審議会からの答申を踏まえカリキュラムを次のように整備した。1.すべての科目を半期開講に変更した。2.科目間の関連を明確にするため、セメスター対応かどうかがわかる表示に変更した。(前・後期関連がある科目は「○○○研究Ⅰ」「○○○研究Ⅱ」、関連がない場合は「○○○研究A」「○○○研究B」と表示。3.一部科目について、名称変更、発展的解消として削除および新設を行った。
更に第5章「履修科目および課程修了の認定」の第10条に、単位の計算方法について、大学設置基準に基づき改正するとともに例外規定がむやみに運用されないようにするため、1単位の授業科目が45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とする旨を明記した。

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2専攻体制に向けてのカリキュラム整備
平成14年度からの2専攻体制(家政学専攻、管理栄養士専攻)での教育目標を達成するため、平成13年にカリキュラムを基礎科目、基幹科目、専攻専門科目に分け体系的に編成した。
基礎科目では、これまでの必修5単位・選択40単位から、必修4単位・選択54単位と選択科目が増加したが、専攻ごとに選択必修を課した。これは教養教育を重視するという観点から各専攻がめざす目的に沿い一定の力を身に付けられるようカリキュラムを整備したものである。基幹科目は必修3単位・選択14単位とした。専攻専門科目は、家政学専攻専門科目は衣・食・住・余暇の4領域から成り必修18単位・選択109単位である。そして、学生が4領域をどう履修するかの参考として各領域の履修モデルを示した。管理栄養士専攻専門科目は厚生労働省の指針もあり必修95単位・選択必修8単位であるが、本専攻の特徴として、家政学の理念を生かして社会と家庭の両面を視野に入れ人間の生活を包括的に考察でき、在宅医療チームの一員として訪問食生活指導もできるよう、訪問栄養食事指導・支援に関する領域を充実させた。
家政学専攻の卒業要件単位数は128単位以上(基礎科目26単位以上、基幹科目12単位以上、専門科目90単位以上)、管理栄養士専攻は139単位以上(基礎科目24単位以上、基幹科目12単位以上、専門科目103単位以上)である。
*これまでの家政学部家政学科の卒業要件単位数は126単位以上(基礎科目30単位以上、専門科目96単位以上)

●経営学部カリキュラム改革
社会的状況や社会的要請の変化に対応するために、新しくセメスター制、コース制およびインターンシップなどを導入して、きめ細かく、実践的な学習が重点的に実施できるようにカリキュラムを構成した。特に、東海地方、愛知県および三河地域の地域産業・社会が求める人材の養成を通じて地域社会への貢献をめざすため、教育課程を大幅に変更した。
セメスター制の導入によって、科目の特徴やその教育目標、効果について考慮しながらより柔軟なカリキュラム編成・教育の実施を可能にし、併せて学生の「ゆとりと自主性を重視する」立場から卒業要件単位数を132単位から124単位に減らした。
外国語科目では、環太平洋地域の重要性を考え、英語・中国語を重視し地域研究科目と関連づけながらアメリカ、中国・東南アジアの状況について多方面からの学習を進め、異文化に対する相互理解を深めるとともに、実務的語学能力を養うものとした。このために、学生を積極的に本学の海外姉妹校に一定期間派遣する。
インターンシップ制の採用では、学生が在学中に企業での現場体験をすることで、学習意欲を高めるとともに将来の目標や目的を明確にすることをめざした。
新カリキュラムにおける「インターンシップⅠ・Ⅱ」は、その準備講座を2年次・後期に、企業などでの実習を3年次・前期に割り振り、平成13年度後期からスタートした。前者の準備講座は、学外実習に臨むためのさまざまな企業実務を予習する「プレインターンシップ」。その履修済者のみが後者、つまり翌年度に実施される学外実習「インターンシップ」を履修できるという教育課程である。
その背景として、次のような経済社会の変化が強く意識された。すなわち、グローバル化、高度情報化の進展、産業構造の変化に伴い、雇用慣行を取り巻く環境が急速に変わりつつあること、同時に企業などが求める人材についても大きく変化してきていることである。こうした状況のなかで、「21世紀を開拓する企業家的人材の養成」を標榜する経営学部として、時代のニーズに応える創造的な人材育成のためいっそうの教育機能の拡充を図る必要に迫られた。インターンシップの新設は、まさにその一環である。それは産官学連携による人材育成のプログラムでもあり、大学の教育では行き届きにくい実践教育を社会のさまざまな現場学習で補完するカリキュラムである。

インターンシップは、一般に「学生が自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義される。そのメリットとして、第一に、企業などで一定期間、実務体験することにより、自己の適性が確認できるとともに自主的な職業観や職業意識を育てることができる。第二に、実社会に適合した問題発見・解決型の実践的な知識が得られる。第三に、実社会への適応能力を向上させ、自立心や責任感を養うことができる。そして第四に、社会の現場での実務経験を通じて、在学中の学習目標が明確になり、専門分野への新たな学習意欲を喚起できるなどが挙げられる。
平成13年9月、経営学部では「インターンシップ履修要項」を制定してカリキュラムの施行体制を整備した。そこでは、前記のプレインターンシップと連動した履修基準を定めた他、実習の期間を2週間とし、原則的には夏期休業期間中の実施を規定した。学生が最も関心を寄せる実習企業などの選択方法については、次の3つの選択肢を与えて選ばせる方法を取った。ひとつには、学部独自で開拓したインターンシップ受け入れ企業など(地方公共団体や商工会議所の他に業界団体の協力を得て開拓した企業などを含む)から選択。2つには、学生が自ら開拓した企業などであって学部の承認を得たもの。3つには、インターンシップ支援システム「キャンパスウェブ」を活用し、学生が企業側に自己PRし受け入れ企業を選択する方法である。

平成14年8月、初めてのインターンシップが始まる。実習先は豊田市にキャンパスを置く学部の立地特性から自動車関連製造業を主軸に、卸・小売、サービス業の他、地元自治体や商工会議所など幅広い分野になっている。それぞれの受け入れ企業等の現場で、学生たちの専攻を生かした実り多い実習成果が期待される。
「コース制」については、経営学科に経営コース、起業家コース、会計コース、経営情報学科にシステム・デザインコース、情報ネットワークコース、そして両学科の境界領域にまたがるコースとしてマーケティング企画コースを設け、教育の明確化と資格取得をめざした。
「コース制」は従来の「履修モデル」とは異なり、1年次後期に「コース登録」を行い、また各コースに必修科目を系統的に置くことによって2年次以降の学習の専門性をより高めようとするものである。

1、経営コース
このコースでは、総合的な経営管理に精通したゼネラリストの養成をめざす。そのため、企業経営全般についての理解を深めるための経営管理関係科目を設けた。併せて、国際ビジネスに関する知識と実務的語学能力を持った人材の育成をめざし、国際感覚や素養を磨きながら企業や社会の国際化に伴う諸問題に対する認識を深め、それらの問題を解決するための視点を養う科目も設けた。なお、コース科目には中小企業診断士の資格取得に必要な科目も配置してある。

2、起業家コース
このコースでは、独立開業をめざす起業家、中小企業の後継者、企業内での事業開拓を進めるコーディネーターの養成をめざす。そのために、素養を磨きながら自らの企業経営を行う起業家育成を図るための科目、企業の経営環境を的確に認識し、問題解決方法を探る枠組みを修得、実行するための科目を設ける。なお、コース科目には中小企業診断士の資格取得に必要な科目を配置した。

3、会計コース
このコースでは、会計、財務に精通した人材の養成をめざした。企業経営の現実も視野に入れながら、企業業績の測定と改善への本質的な理解を深め、スペシャリストとして活躍する素養を磨くために多くの会計分野の科目を設けた。なお、コース科目には、日商簿記検定2級、日商簿記検定1級と税理士資格の取得に必要な科目を配置した。

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4、システム・デザインコース
このコースでは、プログラマーならびにシステム・エンジニア(SE)の養成をめざす。経営システムの設計ならびに運用のための情報技術の基礎と情報システム構築についての科目、システム分析・設計に重点を置きつつ、SEとしての素養を磨くための経営科目を設けた。なお、コースの科目には情報処理技術者試験一種・二種の資格取得に必要な科目を配置した。

5、情報ネットワークコース
このコースでは、エンドユーザーコンピューティング要員、特に、ネットワーク要員および管理者の養成をめざした。情報科学の基礎的知識、考え方を学び、そのうえでユーザーサイドに立ったネットワークの運用に関して提案できる知識、技術を修得しうる科目を設けた。なお、コース科目には、システム・アドミニストレーター(SAD)の資格取得に必要な科目を配置した。

6、マーケティング企画コース
このコースでは、マーケティングの提案、企画、開発を実行できる人材の養成をめざした。そのために、市場調査、分析のための各手法を学びながら、マーケティング・システムのデザイン、改善について修得する科目を設けた。なお、コース科目には、販売士の資格取得に必要な科目を配置した。

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