第3節 現代マネジメント学部

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(1)経営学部とコミュニティ政策学部の廃止

平成23年度(2011)の現代マネジメント学部現代マネジメント学科の設置と同時に既存の経営学部・コミュニティ政策学部については廃止へ向かうこととなった。

豊田学舎では、昭和62年度(1987)に社会における基本的な共同体である企業に注目して経営学部を、平成10年度(1998)にコミュニティに注目してコミュニティ政策学部をそれぞれ設置して長らく2学部体制であったが、若年者人口の減少に対応した適正規模とするために2学部の入学定員300名を200名として、1学部体制へと舵をきったのである。

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(2)現代マネジメント学部の教育

平成23年度(2011)に、既存2学部である経営学部とコミュニティ政策学部を融合する形で開設された現代マネジメント学部のカリキュラム構成上の特色は、時代適用性を先取りする形で、営利組織と非営利組織について同時並行的に学修できる点にある。

例えば福祉一つとっても、大幅な経済成長が望めない以上、行政機関や法律のみに依存した福祉のあり方には限界がある。従って民間活力の福祉への活用が社会のあり方へ展望を開かせることが鍵となり、またそのことは同時に、「企業の社会的責任」という企業者サイドの重要な経営課題とも成りうるものである。

そこで現代マネジメント学部では、営利企業とNPOなどの非営利組織の橋渡しとなるような人材の育成を目指して、個々人のマネジメント能力を高めることを狙いとした教育を目指した。

これらを実現させるための特徴的な配置科目として、「問題解決基礎」「現代社会の課題」と「現代マネジメント実習」を上げられるが、これらはもちろん、カリキュラム構成上の狙いを視野に入れつつ関連性をもって配置されたものであり、現代マネジメント学部の教育を特徴的に表すものと言えるだろう。

「問題解決基礎」は、1年春期(「問題解決基礎1」)から2年秋期(「問題解決基礎4」)まで、4期連続で配置されている。「問題解決基礎1」においては、語彙力や数的処理の向上と、チームでの活動を通じて達成感を体験し、本学の教育目的である社会人基礎力育成における、12の能力要素を意識させることを、「問題解決基礎2」においては、論理的読解や意見構築技術の能力の向上を、「問題解決基礎3」においては、他者への問いをたてるために、自ら関心のある事象が有する因果関係を見出すことを通じて、問題解決の代表的スキルを会得することを、「問題解決基礎4」においては、現代社会の課題について問題意識を身に付け、社会人基礎力をスキルとして活用しPBLが円滑かつ効果的に行えるようになることを、それぞれ目標としている。

1年春期において、「問題解決基礎」と同時に受講することとなる「現代社会の課題」は、学部教員がそれぞれの分野における現代社会的な課題についてリレー方式で行う講義であるが、ここで学生は、まさに現代社会的な課題について幅広い分野にわたって学修することで、自らの問題意識や関心を高めることになる。

こうした準備を経て、社会人基礎力の育成科目としても位置付けられている「現代マネジメント実習」を行うこととなる。

「現代マネジメント実習」は、2年生春・秋期で展開される「現代マネジメント実習1・2」(選択)と、3年春・秋期で展開される「現代マネジメント実習3・4」(必修)で構成されているが、学部教員がそれぞれの専門性に応じて提供する「実習」の中から学生が選択し、それぞれの実習に取り組むことでマネジメント能力を高める科目であり、現代マネジメント学部教育の集大成とも言える学修である。と同時に、いくつかの実習では県や市の公共団体やNPO団体との協力を得て、場合によっては協働として展開され、多くの社会的な成果を上げてきた。こうした成果の一部は、就職課並びに就職委員会主催のもと、毎年80社ほどの企業を招いて開催される企業懇談会において、学生自身がプレゼンテーションを行い披露されてきたが、参加企業からも高い評価を得てきたものであり、実際に、企業への内定につながるという成果をも生み出してきた。

(3)産学連携・官学連携

現代マネジメント学部の産学連携・官学連携事業は、次の3つに分類できる。

第一に、現代マネジメント学部の母体となった2学部(経営学部とコミュニティ政策学部)のうち、コミュニティ政策学部の授業科目である「コミュニティ運営実習」の流れを汲むものである。同科目は、市町村やNPO団体の運営に学生が参加させていただくことでコミュニティ団体の運営方法を体験的に学修する科目であり、多くの成果を上げてきた。

第二に、同じくコミュニティ政策学部が実施していた官学連携事業を引き継いだものである。

第三に、現代マネジメント学部の授業科目である「現代マネジメント実習」で取り組んだものがある。同科目は、学部教員が専門性を活かして独自の実習を行い、マネジメント実践を行う科目であるが、その際に学外団体のご協力をいただいた実習もあり、多くの産官団体との協働事業に発展するものもあった。

ここでは、以上の活動の中から特筆すべきものついて紹介していきたい。

第一の「コミュニティ運営実習」は、多くが現代マネジメント学部に継承されたが、中でも豊田高齢大学を通じて豊田市とのつながりができたことは大きな意味を持つものであった。加えて、みよし市農村生活アドバイザーのご協力を得て定期開催されたファーマーズマーケットは、現代マネジメント学部になって以後も継続されたものである。

第二のコミュニティ政策学部が実施していた官学連携事業では、豊山町との共同事業と、とよた市民活動センターとの協働による「とよたNPO大学」「とよたNPOゼミナール」が挙げられる。この両事業は現代マネジメント学部になって、同学部による官学連携の中心事業へと発展するものであった。

豊山町との連携事業は包括協定にまで発展し、学部教員が各審議会の委員もしくは会長とし参加、あるいは同町の豊寿大学へ講師を派遣する一方で、同町役場職員による大学での講義などが行われた。一方、豊田市との関係においては、後に豊田市大学等連携協議会(豊田市周辺の5大学1高専との連携事業)が設置されたこともあって、より緊密な包括協定へと発展し、多くの活動に学生・教員が参加、成果をあげることとなった。

第三の「現代マネジメント実習」では、豊田市の「旭地区わくわく事業」である有間竹林愛護会、ビューティー惣田会におけるボランティア活動が特筆される。これらは大学として取り組んだ事業の中で、現代マネジメント学部が担当したものであるが、学部独自に行われた活動としては、稲武地区が抱える地域的課題に取り組んだ「いなぶまゆっこ」との実習、豊田市都市整備部公園課との連携で行われた鞍ヶ池公園整備に関する実習などが上げられよう。とりわけ前者は、いなぶ観光協会、稲武商工会との共同事業としての「歩かまい稲武」やトヨタケ工業株式会社の主催する「OPEN INABU」への参加へと発展するものであった。

これらの活動に加え、愛知県産業労働局商業流通課からの依頼に基づく永覚新町商店街振興組合商店街活性化計画、豊田市青少年センター主催の「学生によるまちづくり提案事業」等へのゼミナールを中心とした参加などもあり、現代マネジメント学部の産官学連携事業は多くの成果をあげてきたが、こうした活動は令和2年度(2020)になって新型コロナウィルス感染予防のため、その多くが中止もしくは延期を余儀なくされ、次いで令和3年度(2021)には現代マネジメント学部の閉鎖に伴い「現代マネジメント実習」は最終年を迎え、各事業が終了。現代マネジメント学部教員が関わってきた産官学連携事業も岡崎学舎・家政学部に移管されることとなった。

(4)現代マネジメント学部の廃止

平成17年度(2005)から、豊田学舎においては定員充足問題が懸案事項となっており、募集回復のために豊田学舎活性化プロジェクトチームを立ち上げ、豊田学舎活性化事業に教職協働で取り組んだが、十分な成果を出すことができなかった。そこで、社会の変化と18歳人口の減少により入学定員を確保し、大学教育の質の保証を維持するために、経営学部とコミュニティ政策学部を融合・改組して、平成23年度(2011)に現代マネジメント学部(入学定員200名)を開設した。

新学部では、基礎学力、専門知識・技術及び「社会人基礎力」を統合的に身につけ地域社会に貢献する人材育成を目指し、「特別奨学生制度」を始めとする奨学生制度、企業向け社会人基礎力発表会、公務員対策講座開講等々様々な対策を講じた。

しかしながら、初年度から定員を確保できず、7年間にわたり、入学者は191名、181名、153名、129名、109名、109名、131名と定員割れで推移した。

深刻な「2018年問題」で18歳人口の減少により入学者数の確保が更に困難になることは明白であり、大学を取り巻く厳しい環境の中、社会情勢の変化を踏まえて検討した結果、平成29年(2017)3月27日の理事会で、現代マネジメント学部について、将来にわたって教育研究を継続することが極めて困難であると判断し、平成31年度(2019)以降の学生募集を停止することを決断した。

学生募集停止に関する諸手続きについては、大学の教授会における意見聴取・審議を行い、その後、評議員会における諮問、理事会における最終審議を経て、学生募集停止に必要な学内手続きを取った。

その後、①文部科学省に対しては、平成29年(2017)4月25日付けにて学生募集停止に関する文書を郵送した。②在学生に対しては、5月と6月の2回、在学生の保護者に対しては、8月に丁寧な説明をするとともに、質問等にも丁寧に対応し、今後の対応について、平成30年度(2018)入学生を含め引き続き卒業までの教育支援はもちろんのこと、学生生活支援や就職・進路支援においても万全の体制で対応していくことを伝え理解を得た。③卒業生に対しては、6月に書面をもって対応した。④教育後援会構成員(学生保証人)に対しては、5月に教育後援会役員会、総会で説明した。⑤系列校(安城学園高等学校・岡崎城西高等学校)に対しては、5月の職員会議にて両校長から報告をした。⑥高等学校・実習協力団体・行政・業者に対しては、6月にホームページにて公開後、順次対応をした。

教授会では「平成33年度(令和3年度、2021)に全員卒業」を必達目標とし、課題として①設置基準に沿う教員数の維持、②単位取得支援のための効率の良いカリキュラム編成、③学修意欲を促す充実科目の開講、④就職活動支援サービスの充実等を設定し教職協働で課題解決に取り組んだ。

令和4年(2022)3月16日の卒業式で最後の在学生26名全員が卒業をし、11年にわたる教育で卒業生818名を輩出し、計画通り学部閉鎖を果たした。

(5)運動部の活動、最後の戦いへ

現代マネジメント学部においては、平成23年度(2011)の学部開設を機に、「豊田学舎活性化プロジェクト」の目玉事業として、8つの部活動を強化指定部と位置づけ、大学として強力な支援体制を敷いてきた。特に以前から全日本学生大会で上位進出を果たすなどの実績を有する男子バスケットボール部を筆頭に、従来から強化指定部であったサッカー部、空手道部に加えて硬式野球部、剣道部、ハンドボール部、ソフトテニス部、硬式テニス部を新たに加えて活動を展開した。

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平成23年度(2011)でのスポーツ推薦入試における入学者は88名であり、当初は運動部の活動も活発で、各部とも各種大会で上位進出するなどの状況が見られた。しかし、現代マネジメント学部閉鎖が決まり、部員数の減少などにより年々活動が制限される状況となってしまった。

当時は、活動意欲を喪失する学生なども見られたが、限られた活動に全力で取り組み、輝ける学生生活を過ごした。なお、彼らが過ごした豊田キャンパスでの時間と経験は誇り高きものであり、彼らの宝物として永遠に歴史に刻まれることになるであろう。

【男子バスケットボール部】

昭和63年(1988)に元全日本代表の小野秀2氏を監督に迎えると同時に創部した。これまでの間、全日本大学バスケットボール選手権大会でベスト4入賞など、豊田キャンパスの運動部をけん引してきた。男子バスケットボール部から巣立った卒業生は200人を超え、全日本で活躍する選手、全国の強豪高校やクラブチーム、現Bリーグで活動する指導者も多く輩出している。

主な実績(平成24年度(2012)~)

平成24年度(2012)~平成26年度(2014)まで、3年連続で全日本学生バスケットボール選手権大会に出場

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【空手道部】

豊田学舎開設の昭和62年(1987)と同時に創部。世界選手権準優勝の実績を持つ磯崎丸氏を監督として迎え、150人を超える卒業生が巣立っていった。卒業生では、第2回世界空手道選手権大会優勝など、20回を超える全日本学生空手道選手権出場など、輝かしい戦績を残してくれた。

主な実績(平成24年度(2012)~)

平成24年度(2012)~令和元年度(2019)まで8年連続全日本学生空手道選手権大会に出場

【サッカー部】

豊田学舎開設の昭和62年(1987)と同時に創部。34年間で約300人の卒業生が巣立っていった。長きにわたり東海学生サッカー連盟1部で活動し、総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントには2度の出場を誇る。現在も高校のサッカー強豪校やクラブチーム、Jリーグ指導者として活動する卒業生も輩出している。

活動最終年度の令和2年度(2020)には、東海学生サッカー2部リーグで準優勝と得点王を獲得し、学泉サッカーの有終の美を飾った。

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【硬式野球部】

平成23年度(2011)に高校野球で甲子園ベスト4の実績を有する後藤篤氏を監督として迎えて強化に取組んだ。本学が所属する愛知大学野球リーグは、1部から4部までで構成され、本学は1部昇格を目指して取組んだが2部での活動が主であった。ただし、2部からでもプロ野球に進む選手も多く、、本学からも育成ドラフト1位で千葉ロッテマリーンズに入団した選手や独立リーグで活躍する卒業生も輩出している。

令和2年(2020)10月の活動最終戦には、多くの卒業生や保護者が観戦し、その幕を閉じた。

【剣道部】

平成元年(1989)に創部し、これまでの間、全日本学生剣道選手権大会、全日本学生剣道優勝大会に多くの学生が出場した。特に部員数の減少が顕著になった平成30年度(2018)と令和元年度(2019)には、男女アベックでの全日本学生剣道優勝大会への出場を果たすなど、剣道部の部訓である「堅忍不抜」を実践する活躍であった。

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活動最終年度の令和2年度(2020)は、コロナ禍の影響で大会が開催されず活動が終了したが、剣道人としての誇りを胸に社会で活躍してくれると信じている。

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