第2節 学科の動向

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(1)食物栄養学科

食物栄養学科は厚生労働大臣認可の栄養士養成施設である。栄養士養成についてのカリキュラムはその法律に準じて構成されているが、他養成施設との差別化を図るために、かねてより「医事管理士」と「医療管理秘書士」の資格取得がより可能となるように、この10年間に履修科目の見直し等の対策を講じてきた。また、平成25年度(2013)より「食物アレルギー」に特化したカリキュラムを編成した。開講した科目は「食物アレルギーの医学・基礎と対応」「食事療法論Ⅱ」「食事療法実習Ⅱ」「保育の基礎講座」の4科目である。その結果、保育施設への就職者も増加し、入学者選抜試験の志望動機においても、本学の「食物アレルギー」関連科目を学びたいというものが最も多くなっている。

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一方、平成30年度(2018)より、愛知県三河地区および静岡県西部からの本学本学科への入学希望者が増加していることなどを事由に、入学定員を40人から70人へと増員した。定員増員に伴いこれまでの1クラス編成から2クラス編成となり、教育の質の低下をきたすことのないように、調理室や実験室なども新設した。また入学者選抜試験において、本学科では初めてAO入試(現:総合型選抜試験)を導入した。更に、カリキュラムも差別化の観点から特色化を図った。すなわち、以前から系列高等学校などから要望のあった「スポーツ栄養」に関する科目「アスリートの栄養学」「スポーツ栄養マネジメント」を開講し、また、超高齢化社会に対応すべく「食介護・栄養ケアマネジメント」を開講した。「食物アレルギー」「スポーツ栄養」「食介護」の3分野を本学科の特色あるカリキュラムとして確立し、幅広い分野で活躍できる栄養士を養成することとした。これらの取り組みの結果、医療事務の資格も併せて、就職状況は良好で、例年、就職率はほぼ100パーセントとなっている。

また令和元年度(2019)より、学修成果を確認する機会として、学生には食物アレルギー対応食レシピコンテストや地産地消料理コンテストなど、様々な機会への積極的な参画活動に取り組んでいる。その結果、「郡上素材新商品開発コンペ」において、本学科学生考案の「みそプリン柿ジャムのせ」が最優秀賞を受賞、令和3年(2021)には「もっと噛んで歯ッピーレシピコンテスト」において、本学科1年生が金賞を受賞した。

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(2)幼児教育学科

幼児教育学科はこれまで女子学生を対象に保育士・幼稚園教諭を養成してきたが、他学科が平成13年に男女共学を導入したことと歩調を合わせ、平成31年(2019)4月に男女共学とした。

この10年間は、保育者養成に深くかかわる国の保育・幼児教育政策が大きく変貌した時代であった。すなわち、平成24年(2012)8月に子ども・子育て関連3法が成立し、平成27年(2015)4月から子ども・子育て支援新制度が開始された。これらの法律は少子化の進行と保育ニーズの多様化を背景として成立し、待機児童対策や子育て世帯の負担軽減に貢献した。一方で、都市部を中心に慢性的な保育士不足が続き、この数年間は保育職を志望する学生数も減少傾向にある。そこで、幼児教育学科では本学独自の教育プログラムを検討し、その魅力向上に努めてきた。

第一に、公務員を目指す学生を支援するため、公務員採用試験対策を強化した。具体的には、平成24年(2012)から平成29年(2017)にかけて「公務員採用試験対策講座」を短期集中で実施した。平成30年(2018)には「公務員・就職対策講座」を通年で開講し、令和2年(2020)4月から教養科目として「保育・教育就職講座」を新設した。これらの取り組みの結果、保育職を目指す学生全体の意欲が高まり、公務員採用試験合格者数も増加傾向にある。

第二に、保育現場の多様なニーズに応えるため、取得可能な資格を新設した。幼児教育学科では、幼稚園教諭二種免許状、保育士資格をはじめ、公益財団法人日本レクリエーション協会が認定する「レクリエーション・インストラクター」の資格が取得できる。これらに加えて、令和3年(2021)4月から学校心理士認定運営機構が認定する「準学校心理士」を新設した。更に、令和4年(2022)4月から絵本専門士委員会(事務局:独立行政法人国立青少年教育振興機構)が認定する「認定絵本士」を新設した。これらの資格取得によって、保育者としての専門性が高まり、活躍の場が広がることが期待される。

第三に、高校生の進路選択を支援するため、高大連携を強化した。とりわけ、令和4年度(2022)から「科目等履修生高大連携教育プログラム」として専門科目「保育表現講座」を新設した。本プログラムは保育系の進学を目指す安城学園高等学校「こども教育・芸術コース」の生徒が、幼児教育学科の授業科目を高校在学中に受講することを認める制度である。履修した単位は幼児教育学科入学後の修得単位として認定し、同時に高校の単位としても認定される。高校在学中に幼児教育学科の授業科目を履修することで、本学での学修意欲の向上につながると考えられる。

令和2年(2020)初頭から新型コロナウイルス感染症が世界的に流行した。幼児教育学科では同年6月の「保育実習Ⅱ」を1週間のみ学内で実施するなど対応を余儀なくされた。学内実習では学生が保育士役と子ども役に分かれ、模擬的に部分実習を経験することで実習先での研究保育に備えた。多くの学科行事が中止となったが、「こどもまつり」は規模を大幅に縮小して開催し、「幼児学ゼミナール報告会」は発表動画を視聴する形で実施した。予断を許さない状況が続くなか、学生が通常と変わらない大学生活を送り、保育者及び社会人として必要な力を獲得できるよう教育活動の継続に努めている。

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(3)生活デザイン総合学科

平成23年度(2011)入学生より、本学科が設立以来9年目にして、初めて定員割れとなった。

そこで、平成24年度(2012)は、学生募集に向けて特別フィールドの中に就職サポートユニットとビューティーユニットを新設し、メイクやネールアート、ブライダルの授業を導入して、学修内容の充実を図った。7月にはファッション・コンテスト、8月には夏のアウトドア演習、陶芸とアート、図書館実習、介護実習、レクリエーション実習、ボランティア活動など学外実習が行われた。この他に岡崎市美術展、西尾市美術展などに毎年多くの学生が作品を出展し、数々の賞に輝いた。9月にはカナダ・カピラノ大学への交換留学生が出発し、10月には第50回学泉祭が開催されて、各ゼミが模擬店やファッションショーなどで祭りを盛り上げた。1月に第1回ゼミナール発表会を開催した。この取り組みは、当時16の多岐にわたるゼミの内容について、学生たちが知る機会となり、その後、現在まで学科の学修成果を確認する機会として定着している。2月には新潟県赤倉温泉にて冬のアウトドア演習、美合の愛知県青年の家にて就職合宿、岡崎市シビックセンターにて卒業ファッションショーをそれぞれ開催した。3月には韓国・烏山大学と北京第二外国語大学への交換留学生たちが出発した。

平成25年(2013)はボランティア活動も活発になり、8月には東北被災地へ赴き「笑顔の花を咲かせよう」をテーマに復興支援としてレクリエーション活動などの交流活動を開始し、現在に至っている。

平成26年(2014)には大幅に変更したカリキュラムで、スポーツインストラクターとフードスペシャリスト、ピアヘルパーの資格取得を可能にし、健康を重視したスポーツユニットと、フードスペシャリストユニットを新設した。また進路支援を強化する目的で、その内容を精査して「キャリアデザインⅢ・Ⅳ」を新設した。更に「無限の可能性開発講座」が必修科目として始まり、この中で「社会人基礎力」の育成を強化することとなった。また3月には新たにインターンシップが導入され、5月には新入生の交流の場ともなるレクリエーション大会を開始し、現在に至っている。

平成27年(2015)6月のオープンキャンパスから学科のキャラクターマスコット「ゆめまる」を制作し、学科広報に活用している。12月には図書館だよりの発行が始まった。平成29年(2017)2月からは「学泉木曜サロン」が開始され、各ゼミの学生たちと岡崎市矢作地区の高齢者の方々との交流の場が形成されて、現在に至っている。

平成30年(2018)7月は「内藤ルネ展」、9月は岡崎市内北野廃寺での「やはぎ飛鳥まつり」、スペシャル・オリンピックス、11月は道の駅藤川宿・食のイベントに参加協力するなどの学外活動が盛んに行なわれた。

令和2年(2020)は新型コロナウィルスの感染拡大を受け入学式は中止、8月はキャンパス内でのアウトドア演習となった。令和3年(2021)もコロナ禍の影響を受けて「総合ゼミナール発表会」は1月にオンラインで、また2月の卒業ファッションショー・3月の卒業式は例年と異なり、キャンパス内で開催した。令和3年度(2021)は10月に「パリコレ公認イベント日本キッズファッション・ウィーク2021(名古屋)」に参加し、コロナ禍の中にあって明るい話題となった。

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(4)短期大学の就職状況

平成24年(2012)以降の低成長期や令和元年度からのコロナ禍での就職活動は、求人数の縮小もあって厳しい状況下にあるが、就職を希望する学生ほぼ全員が内定を獲得し、「希望する就職を実現!」は達成している。「就職活動は教育の一環」という考えのもと、各学科の就職指導委員と就職課職員で構成する「就職指導委員会」で、求人先の開拓と企業情報及び内定状況の分析、求人情報の伝達と資料整理、学内合同企業説明会、就職ガイダンス・公務員試験対策講座・ジェネリックスキルテストの実施、キャリアカウンセラー配置、就職ガイダンス動画の作製、定着率・企業先アンケートの実施等、全体的な支援を実施している。

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学科では進路支援講座・インターンシップ講座等の開講を始め、履歴書・エントリーシートの添削、社会人基礎力セルフチェック(就職版)の実施、模擬面接指導、就職小論文や常識テスト等の個別的支援を重点的に行って、学生一人ひとりの適性や希望に合わせたサポートを行っている。

この他、内定獲得学生の就職活動の体験談や卒業生を招いて勤務状況などの説明を聴講する機会もあり、いずれも在学生の就職意欲を喚起し、早期の就学活動を開始できるよう図っている。

就職指導委員会の到達目標は、次のとおりである。

①公立保育士、保育所栄養士・スポーツ栄養士、企業ランキング上位企業等への就職数の増加

②定職を希望しない学生の減少

③就職に有利な大学と評価して入学してくる学生の増加

また、令和3年度(2021)には、国が求める「学修成果に関する産業界との協議体制」の観点から企業の人材担当者と学修成果に関する情報が採用プロセスにおいてどう活用されるか、学修成果項目、採用基準等についても協議を進め、新たな連携体制の構築を図った。

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