最後にこの10年間、安城学園高等学校の校長である坂田成夫校長の、次の100年への展望で、この稿を閉じたい。
“教育とは、一人ひとりの潜在能力を可能性の限界まで開発することである”〝誰でも無限の可能性をもっている〟。安城学園の素晴らしい教育信条を、激しく変化する時代のなかでどう具現化していくことができるかが在職する教職員の使命だと考える。
平成23年度(2011)には研修のテーマを「キャリア教育」「PISA型授業」に絞り、全国の先進校を視察した。訪問した中学・高校・大学・県教育センターは25校、キャリア教育で訪問した中学・高校・大学・県教育センターは8校、PISA型授業で17校である。
数学科では3人の教員が始めて愛知教育大学の先生から「外部授業評価」を受け、その結果を教科内で公開した。
外部の先生による「公開授業」も英語科・家庭科・商業科で実施した。英語科は3年連続の取り組みになった。
平成24年(2012)3月22日には長時間の教科研修を組み、各教科の研修内容も交流した。
平成24年度からはじまるあたらしい100年を見据えた「挑戦」という位置づけの研修であった。
「挑戦」という言葉から前理事長の寺部清毅先生が生前話されていた言葉を思い出す。その一つは〝学校は未来を教える所だ。だからこそ常に未来を見据えて教育をしていく必要がある。〟
前理事長の挑戦する姿勢から生まれたものは多数ある。〝英会話〟〝創作活動〟〝教科セミナー〟〝土曜講座〟〝選択型修学旅行〟〝創作ミュージカル〟などは前理事長からの提案、または後押しをしていただいたもので今でも大きな教育の柱の一つになっている。
2つ目は平成4年度から全国に先駆けて学校5日制に切り替えることをアドバイスされた時に話された。〝教育で大事なことは自ら学ぶ力をつけるということ。キーワードは「触発と自学主義」「学校5日制を契機に教育を量から質へ転換する」〟という言葉である。
「触発と自学主義」「教育を量から質へ」どちらもいろいろな取り組みに挑戦してきたものの。まだ〝道半ば〟という段階である。
3つ目は安城学園の理念について触れた、“「庶民性」と「先見性」をおろそかにしたら安城学園は安城学園でなくなる”という言葉である。「庶民性」と「先見性」。あたりまえの言葉のように思うが、守り通すこと、貫くこと、その挑戦が安城学園そのものだということを100周年の今、胸に刻み込みたい、と思う。
最後は現理事長寺部曉先生の言葉である。
〝学校法人安城学園の根拠地は三河という地域ですから、「私たちの仕事はまちづくりのためのひとづくり」を合い言葉にしてこれまで以上にこの地域に貢献できる学園づくりをめざして「自分たちのまちは自分たちで育てようという意欲と知識と技術を身につけた人材」を育成するために取り組んでいこうと思います。〟
創立者、前理事長、現理事長の言葉や思いを具体的に実現することが私たちに課せられている。「今までの100年に感謝し、新たなる100年に向けて」安城学園高校の「研修」と「挑戦」は続く。