第3節 共学のスタートと地域と共につくる学園づくり(平成11年度~13年度)

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(1)男女共学順調にスタート―活気あふれる日々―

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学園創立87年目の平成11(1999)年4月から共学がスタートした。入学生徒677名のうち、男子生徒は89名だった。1組から8組までを共学クラス、9組から17組までを女子クラスの編成とした。以下は「彩雲」63号に寄せた3浦定夫校長の文章である。
「明るく元気な本学園の良さを、男女共学を一つのばねにして更に発展させ、活力に満ちた学園生活を実現していってもらいたいと期待を大きくしています。
学校の施設・設備も男女共学にともなって大きく変わります。すでに体育館は前面改装されて明るく使いやすくなっておりますし、昨年から工事中であった南館も最後の仕上げ工事に入っており完成真近です。1年生の皆さんが待望の新館に移るのももうすぐです、また、引き続いて西館の新館工事を本年夏より予定しており、広い生徒食堂や特別教室等が建設されます。次々と計画的に学習環境が整備されていき、生徒のみなさんは更に快適で明るく充実した学校生活を送ることができるようになるのです。
こうした新しい出発の年にふさわしく、諸行事も順調にスタートし、各クラブ活動も元気に活動をはじめて、春の地区大会でも好成績を収めています。1年生のフレッシュマンキャンプが今年は4月に実施され、入学直後の新鮮な気持ちで取り組むことができたと思います。本校生徒としての自覚を身につけ、友情を深め、学級づくりにも有意義な3日間となったことと思います。
今、安城学園高校には大きく発展していく勢いが感じられます。先生たちと生徒の皆さんと全校が一つになって『真心・努力・奉仕・感謝』の四大精神を心にとどめて毎日を励めば、きっと理想の学園ができると、そんな思いを深くしています。」

(2)男子バスケットボール・野球部・サッカー部の活躍
平成11年に創部し、3年目となる平成13年度の男子部活動はよく健闘している。
バスケットボール部はインターハイ愛知県大会で堂々3位に入賞した。野球部は愛知県高校野球夏季大会で東邦高校と対戦し初戦で敗退したが、愛知県高校野球秋季大会地区予選で4勝1敗の成績を残した。サッカー部は愛知県高校サッカー秋季大会地区予選で1勝1敗の成績を残した。

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(3)地域と共につくる学園・学園祭の改革
平成11年度は「共学元年」とともに「地域と共につくる学園」をより意識した取り組みが始まった年である。まず、学園祭は日程、内容ともに大きく変化した。初日は例年に準じたが、2日目は「サルビア秋祭り」として安城中央商店街の祭り(サンクスフェスティバル)に日程を合わせ、共同開催の形にした。4年度より行われている「土曜講座」をサルビア秋祭りのなかで行い、市民に開放した。
本校がまちとつながる学校に動き出した背景としては次のことが挙げられる。

・まちの教育力の壊れに対してのもうひとつの学校づくり 地域づくり
・助成金運動の活動~地域との連携“響きあう学校”の展望
・地域の市民参加をめざしてきた土曜講座の蓄積
・前年度の中央商店街の祭りへの生徒の参加
・七夕祭りなどでの安城市の行事・デンパークでの行事へのクラブ参加(吹奏楽部・ダンス部)
・安城市民会議のネットワーク
・「私学奨学資金1億円募金の運動」でまちに繰り出した生徒たち
・インターアクトクラブの日常的ボランティア活動のつながり
・ひたむきな生徒会顧問団と生徒会の存在

協賛団体として愛知学泉大学学園祭実行委員会・安城サンクス実行委員会・私学をよくする西三河フェスティバル実行委員会・安城青年会議所・安城まちづくり市民会議・私学をよくする西三河フェスティバル実行委員会が加わった。安城将棋連盟・さんりんしゃ・愛知琉球エイサー太鼓連・安城学園3幼稚園・錦町小学校2年生作品(90名)・愛知学泉短期大学幼児教育科学生などが共同・協力参加し、ネットワークの広がりを見せた。
当日は多数の参加者を集め、生徒も祭りの主体者となってまちのあちこちで活躍した。参加した生徒はひたむきで、その姿がまちの人を感動させ、生徒の喜びを引き出した。12月には安城商工会青年部の祭り(元気フェスタ)にも協力を要請され、有志生徒がたくさん参加した。
11年度の第5回講座に当たる土曜講座は予想をはるかに超える多くの父母・市民・小学生の参加があった。総合学習の導入もあり、小学校をはじめとする教員の関心も高く、スリランカカレー講座、三河木綿講座などは小学校からの問い合わせが多く、出張講座が行われた。料理・フラワーアレンジ・七宝焼きなどの趣味の講座が父母からも組織的に出された。その後、地域対象ガーデニング講座やコンピュータ講座が定期的に開かれ、「地域の人が集まり会話する機会ができてありがたい」「学校の近くに家があって本当によかった」という声もあがった。土曜講座は地域のコミュニティセンターづくりの大きな要因になっている。

学園祭に関して生徒指導部長の山下教諭が「彩雲」65号で次のように述べている。

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「広がったネットワーク~ひたむきの相互作用~」
「歴代の生徒会により、高い段階に達してきた学園祭、しかし、その中で生じてきたマンネリ感と一般公開の矛盾をどう解決するのか、今年の学園祭はそこからスタートした。伝統的ともなった本校の学園祭を縮小させず、新たな発展形を展望するには地域に飛び出すしかない。これが討議してきた結論だった。学内での内容検討、商店街との打ち合わせ、生徒会役員・実行委員、教員が手探りで動き出した。サルビア秋祭りは、本校として公開講座中心の参加をベースとしたが、祭り全体のイメージを共有するまでが大きな山となり、生徒会、実行委員の生徒たちも苦しんだのではないかと思う。

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当日、結果はあふれかえる人、人…で大成功となった。
この祭では中央商店街サンクスとの共催だけでなく、青年会議所、まちづくり市民会議、酉三河フェスティバルとも共催し、多くの協力が得られた。広く信頼関係をもつネットワークができたことは大きかった。サルビア秋祭りの成功を一言で総括すると、それぞれ目的をもった集団のひたむきの相互作用だった。その相互作用の中で生徒たちも良い体験ができたことを確信している。」

学園祭について、実行委員の佐橋佑美が「彩雲」65号で次のように述べている。

商店街の皆さんが本当に喜んでくれました
「今年から、共学という新しい年を迎え、学園祭も去年とは大きく形態を変え、6月に実行委員会を結成しました。今年初めてということもあり、実行委員の活動も何をしていいか何もわからず、戸惑うばかりでした。でも、夏休み中の活動と合宿で、実行委員会がまとまり、次々とやることが見えてきて、話し合いも進み始めました。
去年と違う大きな事は“地域とつながる”ということです。去年のサンクスフェスティバルから少しずつですが地域の商店街の人とつながってくることができたと思います。そして、今年の学園祭です。2日目のサルビア秋祭りに向け、私は商店街の人達と会合を重ねてきました。初めのころは、お互い気をつかい、あまり私たちの意見がいえませんでしたが、回を重ねるごとにお互い気を使うこともなくなり、私たちも意見がいえるようになりました。そして、今年は、商店街の人が、私たちが地域とつながり頑張っている姿を見て、プレイベントにも参加してくれました。
サルビア秋祭り当日、町のなかに、学園の生徒が、地域の人と一緒に仕事をしている光景をあちらこちらで見ることができました。終わったあと、商店街の人は本当に喜んでくれていました。今後は今年の学園祭の地域とのつながりを大切にし、さらに町とつながり、これからの学園につなげていけたらと思います。」

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(4)地域ガーデニング講座始まる
地域との交流では「地域ガーデニング講座」も平成11年度から始まった。完成した南館前を会場として毎回、地域の人たちが30人近く集まってきた。本校父母や卒業生父母が毎回のようにハーブティーやクッキーの差し入れをしてくれ、会を重ねるごとに楽しい会になっていった。地域の人たちが「ガーデニングも楽しいが近所の人が集まる機会をつくってくれたのが何よりも嬉しい」と話してくれたのが学園づくりのヒントにもなった。

(5)PTAの活動活発化~広報誌「クローバー」発行~
平成10年度からPTAは役員組織のなかに研修部、広報部を設け、活動の幅を広げていった。
毎年2回の研修(一日研修と一泊研修)もたくさんの参加者で開催し、交流が深まった。広報誌も年3回発行され、PTA活動の様子や学園の様子などの情報を提供した。学園祭やサルビア秋祭り、土曜講座への参加と活躍もめざましい。

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(6)男子部員入部で部活動活性化・吹奏楽部4回目の全国大会出場、金賞受賞
平成11年度、国際交流では留学生としてハンガリーからゼンダイ・ユディットを迎えた。前年の吹奏楽部のハンガリー演奏旅行がきっかけとなった留学で、彼女は1年間、吹奏楽部委員として活動し、各種演奏会や大会にも出場した。
部活動の活躍では、吹奏楽部が4回目の全国大会出場を果たし、3度目の金賞を受賞した。夏のインターハイにはソフトテニスで池野・宇野(ダブルス)、陸上400メートルで西村みきが出場した。女子バスケットボール部がインターハイ予選で久しぶりに県3位になり、復活を感じさせた。
共学元年、男子を加えた部活動は活性化していった。男子バスケットボール部には13名の部員、野球部には14名、サッカー部には14名の男子が入部し、新しい歴史のスタートを切った。文化部では吹奏楽部に9名、演劇部に2名の男子部員が入部し、今までにない活気をつくりだした。

(7)響き合え、まちと学校~七夕祭りに1・2年全クラスが参加、花車は市民との共同製作~
前年から始まった学園祭と中央商店街の祭りとのタイアップは平成12年度、8月の安城七夕祭りに1年、2年の全クラスが初めて飾りに参加した。末広町、朝日町、花ノ木町への協力で3町内とも飾り部門で特別賞を受賞している。メインステージでは吹奏楽部とダンス部が活躍した。学園祭実行委員は独自にアーチ飾りを作り、ガーデニング講座に参加している市民との共同の取り組みとして「はなぐるま(花車)」を20台、学園企画で出展し、審査員特別賞という評価を受けた。
10月の学園祭・サルビア秋祭りも実行委員、代議員、サルビアスタッフの総勢350名と父母・地域商店街、商工会議所などの代表が実行委員会をつくって企画の段階から話し合いを進めた。まちの人の知恵とエネルギーに触発されて、生徒たちも祭りづくりに精力的に取り組む。地域とまちが響きあって祭りがつくられていった。

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(8)地域コンピュータ講座開催
地域の人を対象にした講座もガーデニング講座に加えて平成12年度からコンピュータ講座、英会話講座、ピアノ講座を開催した。特にコンピュータ講座は地域のお年寄りと女性を対象にした講座で高い人気を得た。

(9)オーケストラ日本一、西村みき400メートル・400メートルハードル高校4冠達成
平成12年度の部活動では吹奏楽部が5回目の全国大会出場(銀賞)を果たした。同年弦楽部と吹奏楽部で編成したオーケストラが出場した全国合奏コンクールでは内閣総理大臣賞を受賞し、全国1位に輝いた。インターハイには陸上部400メートルの西村みき、ソフトテニスの石原真由美・春日井智尋(ダブルス)、空手の備後理砂が出場し、活躍した。陸上部の西村みきの活躍はめざましく、インターハイ・国体で400メートル・400メートルハードルすべて優勝し、高校4冠を達成した。

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(10)国語科弁論大会開始・東海豪雨被災地支援
国語科では2年生の国語の授業を通して平成12年度から弁論大会を始めた。クラスの全員が600字以上の原稿を作り、暗記して発表する。そのなかからクラス代表を選んで予選を行い、更に選ばれた人たちが2年生全体の前で弁論を展開した。
平成12年9月、突然襲ってきた東海豪雨の被災地にも多くの生徒が水害ボランティアとして参加した。

(11)吹奏楽部、まちとつながるサルビア秋祭り参加、4回目の全国大会金賞受賞
平成13年度の安城七夕祭ではメインステージの司会を生徒が務めた。末広町、花ノ木町は1年のクラスの飾りが出され、末広町のゲートは2年学年会が製作した。ダンス部、吹奏楽部の部員は多くの舞台で踊り、演奏した。末広町、御幸町へは地域の人と父母でつくった「はなぐるま(花車)」41台が飾られた。学園祭は中央商店街との3回目の共同開催で、学内だけでなくまち全体も大いに盛り上がった。学園祭では学園祭実行委員会が「ハンセン病」をテーマに企画展を開いたり、2年2組の「アフガニスタン女性を招いた対話」など新聞に取り上げられる作品も出された。
サルビア秋祭り3年目の情景を山下辰夫教頭は「彩雲」71号で述べている。

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[まちのステージから]
「学園祭の発展を願った「サルビア秋祭り」も、3年目を迎えました。この間、学内と地域の両面での活動は生徒会役員、実行委員の生徒たち、そして父母のみなさんや教員にとってもハードな活動でした。無事、成功に終わった今、あらためて感謝します。
今年度は、例年にもまして生徒たちの活動がまちの祭りにふさわしい賑わいをつくりあげ、その雰囲気を商店街の人達とともに共有する事ができました。100名近いダンス部はウインズとの共演で会場は賑わいました。「音楽のあるまちを」を試行的に行った吹奏楽部、合唱部による街角コンサートへの参加は、商店街の人達にまちづくりへの新たなイメージを与えました。また、フィナーレの吹奏楽部を中心とした活動は観客を圧倒し、その雰囲気は生徒たちへも実感として伝わってきました。また、朝日町で環境をテーマに子供たちのゲームを担当した70名ほどの生徒の活動は、商店街の方々から大変、感謝されました。」
部活動では吹奏学部が6回目の全国大会に出場し、4回目の金賞を受賞した(安城市中央商店街による全国大会出場壮行会を駅前で開催した)。インターハイ・国体には空手の備後理砂が出場し、活躍した。

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(12)学園高校を支える自主活動
生徒が主体的にかかわり、作り上げていくさまざまな生徒会活動や行事、取り組みなどの“自主活動”は、創作ミュージカルの発展とともにさまざまな活動を発展させてきた。クラス代表の代議員や当日スタッフを合わせると1割以上の生徒が主体者になって学園祭を作るようになっている。
クラスの正副学級長で構成する学年代表者会議の活動は、さまざまな学年行事の核となり、クラスと学年づくりには欠かせない存在となっている。高校生フェスティバルは県下の私学を中心にして交流の核となり、私学に通う仲間を救う「私学奨学資金1億円募金の運動」や「阪神・淡路大震災」など、学校を地域と社会に開いた存在に高めていった。

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[平成13年現在の自主活動の内容]
「桜祭り」(新入生、新入生父母歓迎イベント)生徒会主催
 日時:入学式後の昼頃~
 会場:本館北庭と仮設ステージ
入学式後に生徒会、クラブ、代表者会議、ミュージカル、父母などが模擬店を出し、無料で飲食物をふるまう。また仮設ステージではダンス、吹奏楽、弦楽、ミュージカルのステージで新入生と父母を歓迎する。

「新入生歓迎会」生徒会主催
 日時:4月中旬
 会場:安城市民会館大ホール
新入生の生徒会入会式、クラブ・同好会に所属している生徒が、パフォーマンスを交えて紹介。また、生徒会の役員が、高校生活を彩るさまざまな行事をスライドで紹介。2部では創作ミュージカルの公演。

「創作ミュージカル」生徒会、創作ミュージカル実行委員会主催
 日時:4月第2~3週の土曜日午後3時~
 場所:安城市民会館大ホール
安城学園高校の自主活動の柱のひとつ。6月から約10カ月かけて脚本の創作から衣装・効果-装置のスタッフまで、生徒と教員が知恵を出し合って作り上げる。2月の「卒業フェスティバル」、「4月の新入生歓迎会」「一般公演」で上演。

「七夕祭り」安城市、青年会議所、商店街などの七夕祭り実行委員会主催
 日時:8月第1週の週末の3日間
 会場:JR安城駅前の商店街
戦後始まった安城の“七夕祭り”。JR安城駅一体の商店街を3日間車両通行止めにして、各商店が笹飾りを出す。12年からは学園高校のある末広町内会(商店街)からの要請もあって、生徒会・学園祭実行委員会、1・2年が商店街の“アーチ飾り”“笹飾り”、まちづくり市民会議との協力による“花車”、また町内会のステージの一部企画の司会進行などとして参加。

「卒業フェスティバル」生徒会、3年代表者会議主催
 日時:2月第2~3週の金曜午前
 会場:安城市民会館大ホール
「卒業生を送る集い」である。第1部は、卒業する3年生が企画し、卒業を前にしたクラスや学年が最後にまとまる取り組み。また、担任会の教員出し物の「演劇パフォーマンス」などは笑いの渦のなかで、ステージと客席の3年生が一体となる。

第2部は在校生がつくる創作ミュージカルに卒業生へのメッセージを込める。

「学園祭」10月最後の土日で開催
学園祭は学園祭だけで成立しているのではなく、日常的なクラス活動や生徒会、自主活動、学年代表者会議の活動や取り組みの総合的な所産である。そして、教員の寄り添いや指導、鍛えられたリーダー集団の組織力が必要となる。

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「高校生フェスティバル」
愛知私学の高校生(一部公立含む)が学校の枠を超えて集い、交流し、高校生の自主活動として、春と秋の“フェスティバル”“1億円募金”“震災ボランティア”などの取り組みをする。

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「愛知サマーセミナー」
愛知私学の教師と父母と生徒と地域が愛知サマーセミナー実行委員会を組織する。教えたい人は誰でも先生、学びたい人は誰でも生徒になれる「夢の学校」として私学の高校の関係者が中心に参加するセミナーを開催する。4日間で800講座以上が開講され2万~3万名の受講者が参加する一大イベントである。

(13)進路状況
(上記図版「進路状況(平成4年度から13年度)」参照)

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(14)新校舎
(上記図版「新校舎」参照)

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