第4節 安城学園高等学校

※しおりを追加すると、このページがしおりページに保存されます

主体的な教育づくりの展開
安城学園高等学校においては、58年度に学園長を兼務する寺部清毅校長に代わり、桜井梅弘氏が校長に就任された。
この頃になると、高等学校教育のあり方は、高校入学者の急増急減期の前兆が顕著に現われ始めた。
学校運営の立場からは難局であり、総力を挙げての取り組みが開始されたが、そのひとつが、夏休みの教員合宿研修会の定例化であった。全教員が学園教育の発展を考え、政策を展開し、画1的な教育から、生徒の自主性を伸ばす指導への質的な転換が模索された。より良い私学づくりに向け、画期的な展開であった。
入学希望者の大幅な増加傾向を前に、私学の入試改革も進められたが、本校においては、推薦入学制度が検討され、61年度から実施されることとなった。これは、私学入学者の質的向上と私学の主導性の確立を意図したものであった。
入学希望者増のなかで、「選ばれる私学、魅力ある私学」としての教育内容の良さが、ますます問われることになったことかち、総合学園として独自な教育の展開、すなわち、系列大学・短大との一貫した教育体系を確立することが重要課題となった。
このため、カリキュラムは高大一貫教育として構成され、また、新入生のための学力診断テスト、学力補習、年度末の確認テスト、1年生に対する英語ゼミ補習、全学年を対象とした早朝補習など、学力向上のための指導が強化された。
こうしたなかで56年度カリキュラムが58年度には全学年に適用されたが、同時に、部分修正の作業も進められた。この作業は、同レベルの同質的な集団編成は生徒の活性化をもたらさないとの事実認識をベースにして行われていった。
その一方では、高大一貫教育体制の進展とともに、家庭科選択希望者が激減した。このため、家庭科の募集が廃止された。また、就職希望者の指導においては、時代の変化に対応すべく、ワープロを多数台購入し、情報処理教育を始めるなどの努力を行った。
またこの頃から、教科指導力の向上のために、非常勤講師との連絡会も開かれるようになった。
文化活動の面では、58年度の学園祭は、創立者生誕100周年記念に該当するものであった。この頃から、教師主導型を脱皮し、生徒の力でつくる学園祭を追求していくようになった。自主、自治能力を高めるべく、リーダーズキャンプも行われた。生徒の人格形成のための講演会なども催された。

校舎改築
入学者急増、そしてますます魅力ある私学が望まれるなかで、安城学園高等学校においては、60年9月に、新校舎設計図が示された。
こうして新校舎建設の動きが始まった。61年1月には解体新築工事が始まり、61年度に入って新校舎建設委員会が設けられた。そして、62年2月には、新装なった6階建ての本館が竣工した。また、合わせて西館校舎の内部の改装も行われた。62年度には、新しい制服が採用された。校舎改築と新制服採用により、一段と魅力ある私学環境となり、推薦志願者は急増した。61年から63年にかけての生徒数の急増は著しいものであった。
高大一貫教育を重視するなかで、系列大学においては、61年度より、面接試験に加え、作文試験が導入されたことから、進学者の学力向上が急務となった。自学主義に立った授業改善のあり方も検討された。また、系列大学においては、経営学部が新設されるという重要な動きがあった。62年度には、新設の経営学部に7名が入学した。平成4年度には14名入学するようになりました。
62年度は、学園創立75周年を祝った。

自学主義に基づく教育の進展
平成元年度は、高校入学者増のピークであった。平成2年度以降の急減期を迎え、私学危機は現実のものとなった。
しかし喜ばしいことは、この頃から、安城学園高等学校の志望者は、公立補間的な地位から、高大一貫教育体制を備えた本校独自の教育を求める層が増えてきたことである。そうした志望者が圧倒的多数を占めるようになり、また、系列大学への進学志望者は、70%を超えるようになった。学力診断テストの結果も、飛躍的に向上した。
その一方では、国際人としての資質形成にも力が入れられた。外国人講師の活躍、また、本校独自のオーストラリア海外研修旅行などである。修学旅行も、メニュー方式となった。
自学主義に立つ授業研究も成果をあげていった。ミュージカル・学園祭などの自主活動を通じて、学生たちが示した能力発現と人間的成長を、教科学習に喚起すべく、授業構造の分析検討が始められるという動きも生じた。考える授業への取り組みである。そして、これがカリキュラムの改訂へとつながっていった。
平成2年には、拡大カリキュラム委員会が積極的に動き出し、平成4年度の改訂に向かって主眼とされたのは、量から質への転換である。現実にあって主体的に生活する文化創造者としての人格形成を図る人間主義教育の導入である。評価・評定・単位認定の改訂も平成3年度に合意した。そして生徒の主体的な思考性、感性、独創性や創造性を積極的に評価する方法が確立された。

目次
Copyright© 2023 学校法人安城学園. All Rights Reserved.