1 学園の経営方針について
10年間の経営方針
平成10年代から平成20年代の10年間において経済及び社会の状況は、経済成長率の低迷、高齢化時代の到来、終身雇用制度の終焉へと変化した。それに伴い私立学校を取り巻く環境は、少子化の時代、競争の時代、規制緩和の時代、ガバナンス機能が求められる時代、情報公開と説明責任が問われる時代となった。
需要が供給を上回る時代から需要が供給を下回る時代へと変化し、今日的課題としてガバナンスの確立、教学面の改革、財務状況の改善、情報公開等の経営革新を挙げることができる。
「建学の理念」の再確認
本学園の建学の理念は「庶民性と先見性」であり、建学の精神は「真心・努力・奉仕・感謝」である。本学園の使命は「建学の理念及び建学の精神に基づいて学校教育を行い、地域・社会に貢献する有為な人材を育成する。」ことである。
教育改革
この10年間、様々な教育改革を行ってきた。まず、平成15年(2003)、短期大学「生活科」を「食物栄養科」に名称変更した。2年制の栄養士養成施設であることを明確化するため、より具体的な名称に変更したのである。
平成16年(2004)、短期大学「服飾科」「家政科」「国際教養科」を統合し、「生活デザイン総合学科」を設置した。構想段階での名称は「地域総合科学学科」であり、「地域」「総合」という概念は時代を先取りするものであった。また、「食物栄養科」は「食物栄養学科」に、「幼児教育科」は「幼児教育学科」に名称変更した。
平成20年(2008)、大学家政学部家政学科に「こどもの生活専攻」を設置した。この専攻の特徴は、保育士・幼稚園教諭・小学校教諭の3つの免許状を取得できること、また「身体で覚える」(実践)を重視すること、そして男女共学であることである。
平成18年(2006)、大学経営学部「経営情報学科」を廃止した。経営情報学科のカリキュラムを経営学科のカリキュラムに取り込み、1学部1学科体制とした。
また、経営学部には「フィールドユニット制」を導入し、コミュニティ政策学部には「4コース制」を導入した。
平成23年(2011)には経営学部とコミュニティ政策学部を融合し、「現代マネジメント学部現代マネジメント学科」を開設した。
高等学校における教育改革は次のとおりである。
平成19年(2007)、岡崎城西高等学校は「2学期制」を導入するとともに、文武両道に優れた人材の育成を目的として「文理コース」を設けた。
平成20年、安城学園高等学校は生徒の志願状況及び系列大学・短期大学への進学等に応えるべく「コース制」を導入した。
さらに平成24年(2012)、安城学園高等学校に「PISA型教育」を導入した。
幼稚園における教育改革については平成20年、大学附属幼稚園及び大学附属桜井幼稚園において、地域・社会の要望に応えるべく「満3歳児」教育を導入した。短期大学附属幼稚園では、1年後の平成21年(2009)に導入した。
また、地域の子育て支援の一環として「総合こども園」・「認定こども園」の検討を開始した。
平成19年、寺部曉理事長は『社会人基礎力育成』を導入し、大学・短期大学においてその推進に邁進しているところである。
学校規模の適正化(中長期計画)
少子化の時代にあり、教育改革と財政改革を推し進めていくと同時に、建学の精神に基づく教育をさらに積極的に展開するためには学校規模の適正化は避けられない課題である。
学生・生徒・園児数については、学園全体で6,200名、内訳として豊田学舎1,200名、岡崎学舎(家政学部、短期大学)1,200名、高等学校2校で3,000名、幼稚園3園で800名を目標とした。ただし、これは卒業時の在籍数である。
この目標を達成するため、大学・短期大学、高等学校、幼稚園の入学定員・収容定員をそれぞれ適切な規模に設定した。
家政学部の入学定員については家政学専攻40名、管理栄養士専攻80名、こどもの生活専攻70名とし、現代マネジメント学部現代マネジメント学科については200名とした。
短期大学については、食物栄養学科40名、幼児教育学科120名、生活デザイン総合学科160名である。
高等学校については、安城学園高等学校は普通科480名、商業科80名、岡崎城西高等学校は普通科540名である。
幼稚園の収容定員については、従来のまま、大学附属幼稚園314名、桜井幼稚園280名、短期大学附属幼稚園209名である。
また、定員充足を図るため、各校の募集目標を定員の1.1倍を原則として設定し、地域別状況、競合校の動向等を分析し、教員・職員一体となって募集に取り組んだ。
人件費
経営状況を示すいくつかの指標の中で、主な収入源が授業料等の学納金である私学にとっては、帰属収入に占める人件費比率のコントロールが最も重要視される。学生・生徒・園児数の減少と、デフレで授業料等の値上げができない状況、そして雇用を定年まで保障するとなれば、おのずと教職員人件費の適正化が重要となってくる。
定年までの雇用を保障するために、教職員一人当たりの学生・生徒・園児数を恒常的に20人に維持するべく募集に力を入れる必要がある。大学・短期大学教員の定年は65歳、高等学校・幼稚園教員、事務職員の定年は60歳である。定年後の職員の雇用として高齢者雇用安定法に対する対応として、再雇用制度を導入することとした。
また、雇用形態については従来の終身雇用的な任用形態を見直し、「任期制」教員及び「雇用期間に定めのある」職員、「派遣」事務職員等の一部採用に踏み切った。なお、「建学の精神」のより具現化を促進できるような人的資源を目指すとともに、地域に根づき貢献できる大学・短期大学・高等学校・幼稚園としてその活性化を図ることを可能ならしめる人材の確保を目指すことに変わりはない。
2 管理運営について
管理運営の組織体制
本学園は建学の理念及び建学の精神に基づいて学校教育を行い、地域・社会に貢献する人材を育成している。
具体的には本学園は愛知学泉大学(岡崎学舎・豊田学舎)、愛知学泉短期大学、安城学園高等学校・岡崎城西高等学校の2つの高等学校、愛知学泉大学附属幼稚園・愛知学泉大学附属桜井幼稚園・愛知学泉短期大学附属幼稚園の3つの幼稚園、合計7つの設置校を擁している。これらの組織の管理運営面の統括をするのが法人本部である。各組織体制については、本学園の管理規程に基づいて行われている。
まず、各組織の構成員については教育職員、事務職員、技術員、非常勤教育職員、非常勤事務職員(派遣職員を含む)で構成されている。職員の全ての任免は理事長が行っている。
法人の組織については、法人の財政面及び管理運営面での事務を遂行するために理事長室と法人本部事務局を置いている。理事長室には、平成18年に社会人基礎力育成室を設けた。広報担当については設立当初安城学園広報室として存在していたが、平成18年理事長室に設置し、その後現在まで社会人基礎力育成室とともに理事長直轄の部署として活動している。
法人本部においては、総務・人事・労務関係、財務関係、経理関係業務を遂行している。
大学・短期大学の管理運営は岡崎学舎と豊田学舎に事務局を置いて行われている。また、岡崎学舎は大学及び短期大学の本部機能を果たしている。岡崎学舎・豊田学舎とも総務課・教務課・学生課・就職課・入試広報室を置き、大学及び短期大学に必要な全般的な業務を行っている。
また、各学舎にはそれぞれ図書館及び研究所事務室を有している。
同じように、高等学校及び幼稚園においては、各組織の事務を処理するためそれぞれの事務室を置いている。
大学岡崎学舎、大学豊田学舎、短期大学、両高等学校、幼稚園の事務局(室)においては、各設置校独自の業務を遂行しており、給与・人事・労務関係等、本学園での共通の業務については法人本部事務局が担っている。
本学園を管理運営していく上での最高審議・決定機関としての理事会、及び理事会の諮問機関として評議員会が設置されている。
理事会・評議員会とも、本学園は寄附行為の定めるところにより適切に運営されている。
理事会は、学校法人の業務(事業計画・予算、事業報告・決算、借入金、大学・短期大学・高等学校・幼稚園を運営する上での重要事項、各学校の認可申請事項、収益事業・財産の処分に関する事項等)について審議・決定している。
理事については、本学園の役員として寄附行為に定められた選任条項に基づき選任されている。平成24年5月現在、理事定数11名から13名のところ、理事現員数は理事長をはじめとして11名である。任期は3年となっている。
評議員については平成24年5月現在、定数23名~31名のところ、現員数は25名である。評議員会については理事会の諮問機関としての重要な役割を担っている。任期は2年である。
また本学園の役員として監事を置いている。平成24年5月現在監事は2名である。平成17年(2005)4月の私立学校法の改正に伴い、監事の役割はさらに重要となり、監査対象の一つである理事会の業務執行から学校法人の業務執行に拡大された。また、監査報告書の作成と理事会・評議員会への提出が新たに定められた。本法人においては、監事の各設置校への訪問も視野に入れ、学校法人の日常業務を更にご理解いただいているところである。
監事の役割・職務内容については、私立学校法第37条第2項に明記されている。これによると、監事は
① 学校法人の業務
② 学校法人の財産の状況の監査
③ 学校法人の業務及び財産の状況について会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後2ヶ月以内に理事会及び評議員会に提出する。
④ 学校法人の業務及び財産の状況を監査した結果不正な行為又は法令並びに寄附行為に違反する重大な事実が発見された場合には、これを学校法人の理事会・評議員会及び所轄庁に報告する。
⑤ 学校法人の業務及び財産の状況について理事会に出席して意見を述べる。
などの重要な職務を担っている。
本学園の監事は理事会において積極的に助言・意見を述べ、学園における財政・管理面での業務を的確に遂行しているということができる。
管理運営組織の運営
理事会の運営
理事会の重要な役割は本学園における重要事項の最高の意思決定機関であることである。法人本部は理事会の決定事項を日常の業務に速やかに反映して管理運営を行っている。
理事会の庶務・運営については法人本部で行っている。既述したように、学外理事・監事を構成員とする全体理事会を年に3回開催する。その他、理事会の常務を処理するために常任理事会を毎月開催する。理事会は随時理事長が招集する。理事長は理事総数の2分の1以上から会議に付議すべき事項を示して理事会の招集を請求された場合にはその請求のあった日から2週間以内に召集することとなっている。また、理事会を招集する場合、各理事に対して会議の7日前までに、会議の開催場所、日時、会議に付議すべき事項を書面により通知することとしている。
理事会の議長は理事長が務め、会を進めている。法人の業務に関する重要事項以外の決定であって、あらかじめ理事会において定めた事項については、常任理事会に委任できるとしている。常任理事会の議事及び運営については、理事会に関する寄附行為の各項を適用している。また、次の事項は法人にとっての重要事項であり、理事の3分の2以上の議決を要することとしている。
① 事業計画
② 予算、借入金、重要な資産の処分に関する事項並びに不動産の買受に関する事項
③ 予算外の新たな業務の負担又は権利の放棄に関する事項
④ 収益事業の開始又は廃止に関する事項
⑤ 残余財産の処分に関する事項
理事会及び常任理事会の議事録はそのつど作成し、法人事務局に備え置かれている。議事録署名人は議長である理事長のほか2名の理事が署名・捺印している。
評議員会の運営
評議員会は本学園の重要な諮問機関である。評議員会は、この法人の業務若しくは財産の状況又は役員の業務執行状況について、役員に意見を述べ、若しくはその諮問に応え、又は役員から報告を受けている。平成24年度の評議員は25名で組織されている。この数は理事総数の2倍を超える人数となっており、任期は2年である。評議員会は年3回開催を定例とし、議長はそのつど評議員の互選で決められている。また、次の事項についてはあらかじめ評議員会へ諮問することが求められている。
① 事業計画
② 予算
③ 合併
④ 私立学校法第50条第1号及び第3号に掲げる理由による解散
⑤ 残余財産の処分に関する事項
⑥ 収益事業に関する事項
⑦ 寄付金の募集に関する事項
⑧ 寄附行為の変更及び寄附行為施行規則に関する事項
⑨ その他学校法人安城学園の業務に関する重要事項で理事会において必要と認めたもの
法人事務局の運営
本学園の法人事務局は法人全体の事務の統括を行っている。
本学園の「管理規程」には法人事務局の組織として、法人事務局長、部長、マネージャー、サブマネージャー、リーダー、サブリーダー、他課員の構成及びその役割について明記されている。ここ10年間にはこの他、法人事務局次長、経理部長、総務部長が配置され、それぞれの業務を遂行してきた。法人本部事務局の業務は総務・人事・労務関係、経理関係、財務関係である。各課については、専任職員数名と非常勤職員で構成されている。
各課の主要かつ具体的な業務としては、人事関係(採用・退職・福利厚生)給与・賞与関係業務・各種支払業務、予・決算業務、寄附行為及び許認可に関する業務、固定資産等、本学園の資産に関する業務、連絡調整業務、借入金業務、補助金業務、公認会計士に関する業務、学園全体の行事などを挙げることができる。
理事長室の運営
理事長室は学校法人安城学園法人本部に設置され、理事長直轄の組織として運営されている。現在は社会人基礎力育成室、広報担当、労務関係、理事長の秘書的業務を遂行しており、専任職員2人、非常勤職員3人で構成されている。
社会人基礎力育成室の運営
既述のとおり、社会人基礎力育成室は平成18年度に法人本部理事長室に設置された。
当初経済産業省の提唱する社会人基礎力育成に関して本学園として産学・官学連携事業を通して遂行していくこととしたのである。本学に入学してきた学生を社会で即活躍できる人材に育て上げて送りだすことを第1の目的としたのである。産官学連携協定による様々な活動・取り組みをあげることができる。
因みに、平成18年にコンビニエンスストアのココストアと産学連携協定を、平成20年に豊山町、平成21年に安城商工会議所とそれぞれ官学連携協定を締結した。具体的な活動内容は社会人基礎力の導入編で記載しているのでここでの記述は省略する。
現在、大学・短期大学で社会人基礎力育成を核にした教育を展開し、地域・社会に貢献できる人材の育成を目指した教育目標に併せて産学連携を採用している事業を含むPBLを推進している。社会人基礎力育成室はこれらの取り組みのコーディネーター的役割を担っている。
管理運営体制の整備
本学園は寄附行為の定めるところにより、管理運営に必要な審議機関及び執行機関を設置している。つまり、寄附行為第14条に基づき理事会を設置し、学園全体の運営に重要な意思決定機関としての役目を果たしている。理事の選任については寄附行為第8条及び第12条に定められている。
理事会の開催は5月、11月、3月の年3回を定例としている。なお、本学園の日常的に必要な事項を審議・決定するために、毎月常任理事会を開催している。
理事会・常任理事会は必要に応じて適宜開催されている。常任理事会の運営については寄附行為施行規則に明記されている。理事会の構成メンバーは、学園長、各設置校の長である学長、校長、園長、事務の責任者となっており、教学部門及び事務部門においてバランスのとれた構成となっている。
また、理事会の諮問機関としての評議員会については寄附行為第21条、22条の定めに従って運営されている。開催は5月、11月、3月の年3回を定例とし、必要に応じて適宜開催されている。
評議員は、理事・教職員・卒業生・学識経験者と学内外関係のバランスのとれた構成としている。理事・評議員とも寄附行為の定めるところにより適切に選任されている。
理事は法人の役員として、また自らの所属する組織の責任者としてその責務を担っている。理事会・評議員会とも学外関係者から本学園の運営に際して的確な意見・助言をいただいている。
法人本部は理事会の決定を速やかに日常業務に反映させ、学校法人の管理運営を的確に遂行できるように努めている。各設置校においては、理事会の方針に基づき、それぞれ設置校の管理運営に係わる事項及び各設置校の教育目標を実現するために必要な事項について協議している。理事長は機会あるごとに設置校を訪れ、教学部門及び事務部門における管理運営状況を的確に掌握している。
本学園は創立以来、常に建学の理念・建学の精神に大切にし、時代・社会の変化に対応すべく堅実に管理運営体制を整備してきた。
寄附行為の整備
学校法人が、社会・経済情勢の様々な変化に的確に対応しつつ、安定した学校運営を行い、今後とも発展していくためには、学校法人が自主的、自立的に管理運営できる機能の充実を図ることが不可欠である。このため、本学園の基本的な機関である理事会・監事・評議員会の制度を整備し、権限・役割分担を明確にすることよって、学園における管理運営制度の改善が図られた。(私立学校法の一部改正(平成16年法律第41号))
私立学校は私人の寄附財産等により設立されたものであることに伴い、その運営は自立的なものでなければならない。また、学校法人は私立学校を設置運営する主体であり、寄附行為とは、その学校法人の根本規則たるべきものであって、法人の現在及び将来のあり方を規制するものである。従って、その整備は自主的でなければならない。
理事制度の改善
① 「学校法人の業務に関する最高決定機関として、理事会を置く。」
これについては本学園創立当初から整備されている。なお、改善の趣旨に応じて、学校法人の業務のうち重要事項に関する決定権はあくまで理事会にあるが、その他日常的、かつ一般的な事項の決定については常任理事会に委任できることとした。
② 「代表権は原則として理事長が有する。」
理事就任に伴い理事登記を全ての理事について行って来たが、私立学校法の改正に従い、代表権は理事長のみが有することとした。(理事長以外の他の理事については、登記を抹消した。)
③ 「理事の任期、選任・解任手続きについて寄附行為に定めること。」
これについても整備されている。本学園においては更なる改善を行った。
最高決議機関である理事会を主体的、かつ機動的なものにするため、教学系理事と事務系理事、大学・短期大学関係理事と高等学校・幼稚園関係理事とのバランスの取れた理事構成とした。
以上から「大学学長、短期大学学長、高等学校長及び幼稚園長のうちから理事会において選任される者4~6名」、「評議員のうちから理事会において選任される者4~6名」とした。
④ 「理事のうち少なくとも1名は、外部理事を選任すること。」
これについても寄附行為で「2~4名」と明記されており、常時2名の外部理事が選任されている。
監事制度の改善
① 監事の職務に「監査報告書の作成並びに理事会及び評議員会への提出を加える。」
② 監事のうち少なくとも1名は外部監事を選任。
③ 理事は評議員会の同意を得て理事長が選任すること。解任手続き、任期については寄附行為に定める。
④ 監事は、評議員と兼職してはならない。
これらはすべて、整備されている。
学校法人安城学園の独自性(自主性、自立性)
私学である本学園の目的は、「建学の理念及び建学の精神に基づいて学校教育を行う」ことを明確にした。
寄附行為第3条(目的)を次のように定めた。
① 学校法人安城学園は、建学の理念及び建学の精神に基づいて学校教育を行い、地域・社会に貢献する有為な人材を育成することを目的とする。
② この目的を達成するため、教育基本法、学校教育法及び私立学校法に従い、これを行う。
管理規程の改訂
本学園では教育基本法・学校教育法及び私立学校法に基づいて、各種の規定を改訂してきた。
法改正等に伴う勤務規程の改訂は、平成17年10月から大学・短期大学・高校・幼稚園において順次整備した。教職員のワーク・ライフ・バランスを実現するための看護及び育児・介護に関する取扱い内規、変形労働時間制度などについても整備した。
また、社会の高齢化の進行に対応し、高年齢者が年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的とした「高年齢者雇用安定法に基づく高等学校教員の定年退職後再雇用に関する規程」を制定し、平成24年4月に施行した。
雇用の確保と安定を目的として整備した「大学・短期大学における教員の任期に関する規程」「高等学校の教育職員定数に関する内規」は、各設置校の状況に対応すべく改訂した。
また、平成15年5月に制定された「個人情報保護法」を受け、平成17年9月に個人情報の保護に関する規定を整備した。
その他、各設置校では時代のニーズに合わせた教育課程の改定に伴う学則変更も随時行ってきた。
3 自己点検・評価について
学園の自己点検・評価
平成14年(2002)8月の中央教育審議会への答申「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」の一環として、平成16年度から認証評価制度が設けられた。
日本における国公私立の高等教育機関は文部科学大臣の定めるところにより、平成16年度から第三者評価の受審を義務付けられた。このことは、学校教育法第109条第2項に明記されているところである。第三者評価受審の目的は3つである。
① 大学等の質を保証する。
② 評価結果が公表されることにより、大学等が社会による評価を受ける。
③ 評価結果を踏まえて大学等が自ら改善を図る。
高等教育機関のみならず中等教育機関も擁している本学園としては、中等教育及び高等教育までの一貫した教育及び研究並びに管理運営、施設・設備等について常に水準の向上を図り改善し、建学の理念・建学の精神に基づいた教育活動を展開することにより、地域に・社会に有為な人材を育成し・排出できるよう努めているところである。
平成16年度4月から義務化された高等教育機関の自己点検・評価基準を参考に、高等学校においても教育及び管理運営に関しての自己点検・評価を実施すべき鋭意準備中である。
設置校の第三者評価について
平成16年4月に大学等に第三者評価が義務づけられたことは既述したとおりである。愛知学泉大学及び愛知学泉短期大学は平成23年各教育目標を改めて見直し学則を変更した。大学家政学部については専攻ごとに、短期大学については学科ごとに具体的に教育目標を定めた。
教育目標を見直した目的は、100年という長い歴史と伝統に培われた教育を今一度建学の理念・建学の精神に照らして、現代社会に要請された教育を展開できるように再構築したものである。つまり、本学園においては従来の基礎学力・基礎的でかつ体系的な知識及び技術に社会人基礎力を統合的に身に付け、地域・社会に貢献できる人材の育成を目指すものである。
愛知学泉短期大学の第三者評価
愛知学泉短期大学は昭和25年(1950)4月に女子の高等教育機関として設立された。本短期大学は、家政系に加えて教育系、教養系の学科を増設し、これまでに約1万9,000名にも及ぶ有為な卒業生を社会に送りだしている。平成13年(2001)には、幼児教育学科を除く学科において男女共学化を果たした。
平成3年(1991)に大学設置基準の大綱化を契機に、本学は学則に「教育研究水準の向上を図り、目的及び社会的使命を達成するため、本学における教育研究等の状況について自ら点検及び評価を行う」と定め、本学教育の点検と評価に着手した。あわせて、シラバス、学生による授業評価などのFD活動の活性化に向けた活動努力を開始した。
平成13年度には、自己点検・自己評価報告書を公表し、平成15年度から17年度にわたる本学の自己点検・評価を平成17年度に実施した。平成18年3月には、財団法人短期大学基準協会が実施する第三者評価を受審した。審査結果は「適格」であり、その評価内容を公表している。
愛知学泉短期大学と湊川短期大学との相互評価
平成21年度、愛知学泉短期大学は兵庫県に位置する湊川短期大学との間で相互評価の作業を実施し、お互いの教育活動の現状について当事者努力の成果を短期大学基準協会の評価基準に照らして検証し、平成22年(2010)6月に公表した。そして、本学は、平成25年度(2013)第2クールにあたる第三者評価を受審することとした。
愛知学泉大学の第三者評価
平成14年8月の中央教育審議会の答申「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」の一環として、平成16年度から大学において第三者評価の受審が義務づけられた。
これに先駆けて、愛知学泉大学は、学内の自己点検・評価体制を整備・確立するために、平成4年(1992)1月に「愛知学泉大学自己点検評価検討委員会規程」を制定し、この規定に則り平成9年度(1997)に教育・研究を総検証し「愛知学泉大学の現状と課題」をまとめ、公表した。
平成16年度に規定の見直しを行うと共に「愛知学泉大学自己点検・自己評価委員会規程」を設けた。この新しい規定のもとに愛知学泉大学は教育・研究・管理運営における自己点検・評価を実施し、私学として建学の理念・建学の精神に基づいた教育を展開することにより、教育目標の実現に教育活動を展開し、地域に・社会に有為な人材の育成に努めているところである。
平成22年10月日本高等教育評価機構による第1クールの第三者評価を受審し、「適格」との評価を得、社会に公表した。現在、学内の自己点検・評価作業を継続し、第2クールの第三者評価を受ける準備に取り組んでいるところである。