就職課の設置
経営学部においては、平成元年(1989)4月1日には、昭和62年度に入学した第1期生は3年生になり、就職活動を考慮しなければならない時期が到来した。
経営学部教授会は、63年10月に、池田英2教授を部長とする就職委員会を発足させた。そして平成元年4月1日には、名南工業高等学校長で定年退職した児崎昭久氏を就職課長に迎えた。児崎課長は精力的に活動し、3年生に進級した学生を集めて、就職ガイダンスを実施、また企業研究形式で各企業より講師を招き、講演会を実施した。
第1回、敷島製パン(株)、ユニー(株)、(株)エムケーシー、(株)住友林業、(株)ジェイネット。
第2回、日新観光グループ(株)、井上エムテーピー(株)、丸8証券(株)、フタバ産業(株)、近畿日本ツーリスト(株)、碧海信用金庫。
第3回、(株)メイテック、ヤマザキマザック(株)、豊田通商(株)、扶桑電機(株)、(株)中日新聞社、JR東海(株)。
これらの企業研究は、単に講演ばかりでなく、講演終了後、個々の企業に興味を持つ学生がグループごとに分かれ、質疑をすることが出来るように計画された。
さらに、情報処理技術者試験、英語検定2級、公認会計士などの資格獲得のための講座を、本学教員や外部講師に依頼して開設した。また就職委員の教員と児崎課長が、愛知県内の企業を訪問した。この他、『就職ニュース』を年数回、発刊している。これは、学生たちに就職活動への自発的な行動への指針を与えている。
就職活動の頂点をなしたものは、平成2年3月8日、9日の両日の、愛知厚生年金会館における研修セミナーの実施であった。このセミナーでは、本学教員の他に、就職試験の専門家を招き、面接や作文の要点の説明が行われた。
こうした準備期を経て、平成2年4月1日より、いよいよ、いわゆる就職活動が始まった。
経営学部学生は、第1回の卒業生ということで、教員は勿論、学生自身も、かなりの不安を感じていた。しかし好景気という環境もあって、良い結果を得た。
平成3年3月14日に卒業した235名は、次のような企業に就職した。
製造業=東海理化(株)、新東工業(株)、豊田鉄鋼(株)、フタバ産業(株)、マルヤス工業(株)、小島プレス工業(株)他。
金融・証券=(株)岐阜銀行、岡崎信用金庫、豊田信用金庫、山一証券(株)、岡三証券(株)、丸八証券(株)、ユニバーサル証券(株)、内外証券(株)他。
情報=日立システムエンジニアリング(株)、(株)セントラルソフトサービス、第一コンピュータリソース(株)、メイテック(株)、日立中部ソフトウェア(株)他。
その他=東海郵政局、丸栄(株)、ユニー(株)、(株)日本旅行他。
平成3年4月に4回生となった第2期生はさらに良い結果となった。
経営学部の第1回卒業生235名の卒業式は、平成3年3月14日、家政学部、短大と合同で行われた。
向上した女子学生の就職環境
一方、家政学部においては、愛知学泉大学が女子大学であった頃の昭和40年代、50年代を通して、学生部は、就職対策に頭を悩ませた。企業側は、女子学生に対して門戸を閉ざし、他方では学生自身も、就職に対し、「卒業までには誰かがなんとかしてくれる」といった、他人任せの態度を持つ傾向があり、卒業学年になっても就職活動を始めようとしない状況が続いた。学生部では、学生の就職意識の向上に意を配り、そのための対策をとってきたが、こうした外的条件がネックとなって、就職希望全学生の就職が完了するのは、毎年2月頃であった。
昭和60年代に入って、男女雇用機会均等法が施行された。この頃から企業の女子学生に対する態度に変化の兆しがみえ始め、女子学生に企業への門戸が徐々に開かれるようになった。
これに、自主的、行動的な男子学生の言動による影響が加わり、本学の女子学生の就職に対する意識と行動は積極的になってきた。それは、共学化して3年目、空前の売り手市場と言われた社会的背景があるとしても、まだ女子ばかりの卒業学年において、11月になるかならないかの時期に、ほとんどの学生が就職を決めたことで示されよう。
この例にみられるように、様々な生活の分野で、男女のそれぞれが相手を意識し、それぞれの長所、短所を認識しながら学生生活を送る風潮が定着しつつあるように思われる。
一方、卒業生の進路として、家政学部が最も期待し、力を注いできたのは、家庭科教員の養成であった。公立高・中教員への道を希望する学生に向けて、2年次から置かれる教職特別講座の設置は、その現われである。そして教員として、確実に毎年数人を送り出している。
そこに時代の変化が現われてきた。今まで女子だけが必修となっていた中学・高校の家庭科は、平成6年度から完全な男女共修となる。これは、60年度にわが国が批准した「女子差別撤退条約」の趣旨を尊重するためにとられた措置である。中学では男女同一の授業が行われるが、男子校の多い高校では、従来の科目である「家庭一般」の他、「生活技術」、「生活一般」のいずれか1科目の履修が必修となる。
こうして、家庭科の内容も含めて、授業が大きく変化するのに伴って、新しいタイプの家庭科教員が必要となってきた。本学部の教職課程では、平成4年度から、それに向けての新しい教育内容の講義を始めようとしている。
そしてこれを機に、男子家庭科教員を育て、ぜひとも社会に送り出すべく、男子に対する奨学生制度を設けた。初年度の平成4年に、第1回の奨学生を募集したところ、約20名の応募がありそのうち3名が入学した。4年後には、男女の家庭科教員が揃って世に出ていくであろうと期待している。