第3節 学園の財政等

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1 学園の財政について

10年間の財政
この10年間の収入を見ると、基本となる納付金収入は、平成14年度(2002)と比較して平成21年度(2009)に最大23.5ポイント減少したが、改組等の取り組みにより平成23年度(2011)は18.5ポイント減まで回復して39.9億円となった。また、補助金収入は、平成23年度の時点で学生一人当りが18.3万円、生徒一人当りが33.7万円、園児一人当りが16.4万円にまで増加した。
支出の方は、専任教職員の平均人件費が平成14年度の929万円から平成23年度の949万円と20万円高にした。また、学生一人当りの教育研究経費の支出は、平成14年度の13.4万円から平成23年度は15.8万円と2.4万円高に推移した。
この10年間は、豊田学舎のグラウンド等施設整備、岡崎学舎においては家政学部こどもの生活専攻開設に伴う施設改修、短期大学統合による校舎整備、安城学園高等学校第2グラウンドの新設、岡崎城西高等学校第2グラウンド内借地の一部取得、大学附属幼稚園、桜井幼稚園の園舎新築など教育施設の整備のため、基本金組入れを実施している。このため消費収支差額は支出超過が続いている。
本学園の資産について、流動資産のうちの現預金は、この10年間で20億円以上を維持している。一方の固定負債については、平成14年度の42.4億円から平成23年度では30.1億円と減少している。この主な要因は、日本私立学校振興・共済事業団等への借入金返済によるものであり、平成23年度の時点で日本私立学校振興・共済事業団からの借入金は7.4億円、愛知県私立学校振興事業財団からの借入金(授業料軽減等への借入金)12.3億円である。

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財務情報の公開
情報公開法による開示
学校法人は、私立学校振興助成法第14条に基づき、学校会計基準に従って会計処理を行うことになっている。本学園においても資金収支計算書、消費収支計算書、貸借対照表、資金収支計算書に附属する固定資産明細書、借入金明細表及び基本金明細表を作成し、文部科学大臣及び都道府県知事に届け出ている。
平成13年(2001)4月から行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)が施行され、開示の請求があった場合、これらの書類のうち資金収支計算書、資金収支内訳表、消費収支計算書の大科目に係る金額(資金収支内訳表、消費収支内訳表については学校部門のみ)及び貸借対照表の大科目並びに中科目にかかる金額について開示している。

私立学校法の一部改正に伴う開示
平成16年(2004)に私立学校法の一部改正に伴い、財務情報の公開が義務付けられた。学校法人が公共性を有する法人として説明責任を果たし、関係者の理解と協力を得られるようにしていく観点から、財産目録、貸借対照表、収支計算書、その背景としての事業報告書等を関係者の閲覧に供することとなった。
本学園は、文部科学省から示された様式の参考例に準じこれらの諸書類を作成し、法人本部に備え置き、利害関係者の閲覧に供してきた。財産目録、貸借対照表、収支計算書については大科目、中科目にかかる金額(資金収支内訳表、消費収支内訳表については非開示)、事業報告書の中で財務の概要として主要な財務比率の経年比較等を開示している。
また学園公報、大学広報等を通じて資金収支計算書、資金収支内訳表、消費収支計算書の大科目に係る金額及び貸借対照表の大科目並びに中科目にかかる数値について公開している。

情報提供の方法
財務・経営情報の提供は、学生・生徒・保護者等をはじめとする学園関係者(ステークホルダー)を含め社会一般に「広く分かりやすく」提供することによって、当該大学法人に対する真の理解や支持と評価をもたらすものであるとして、積極的な提供が求められている。
今や大学法人の80パーセント以上がホームページを活用するようになり、これが全体的な趨勢となった。本学園にあっても提供方法について鋭意、創意工夫を重ね、「平易にして簡潔、かつ分かりやすい説明」を付して、平成21年度からホームページにおいても公開することとした。

財務健全化計画
平成22年(2010)、大学第三者評価受審を機に「財政健全化スキーム」を策定した。内容は次のとおりである。
『帰属収入については60億円以上を確保し、消費支出は収入の90パーセントに相当する54億円以下で運営する。10パーセントは将来のために確保する。』
「これを実現するためには学生・生徒・園児数を6,200名確保する。」
「教職員の適正数を310名とする。当面は340名にする。」
実現可能な数字であると考えるので、「ここ5年間で実現を図りたい。」
愛知県下私立高等学校の向こう25年間の生徒募集計画数をみるに、これから5年間は中学生数が増えるので、この間に一定数を確保してこのスキームの実現を図っていく。
特に、高校は生徒数に応じた教員数が必要になる。その後に人口が減り続けるので教職員の採用については慎重に対応する必要がある。
また、幼稚園については平成23年度から国の幼保1元化策のこども園がスタートするので、その情勢を見ながら研究していく。
日本全国と愛知県の将来推計人口動態を見るに、特に愛知県の15歳から19歳の人口はここ5年間は右肩上がりになる。その間に大学・短期大学・高校・幼稚園が一定数の学生・生徒・園児を確保すればこのスキームを実現することができる。
従来から精力的に行ってきた財政健全化への取り組みを、「財政健全化スキーム」として明文化し学園内外に示すことにより、より徹底した取り組みをしていくこととした。

2 教育環境等の整備について
校地・校舎の整備
平成18年(2006)、大学豊田学舎は、教育改革の一環として「豊田学舎活性化プロジェクト」を立ち上げ、学舎の施設・設備を充実させた。教育改革としては学校規模を適正化し、入学定員の是正を行った。
平成19年(2007)、短期大学幼児教育学科を桜井学舎から岡崎学舎に移転し、短期大学全学科を統合した。桜井学舎はすでに建替えの時期に来ており、移転については平成14年以前に教職員の同意が得られていた。その後安城駅前の更生病院跡地に移築(幼児教育学科は岡崎市に移転、生活デザイン総合学科を安城市に移転)するか、岡崎学舎(食物栄養学科、生活デザイン総合学科)に移転・統合するか検討を重ねてきた。その背景には、「安城市学園都市構想(安城市に高等教育機関を誘致)」(安城市)の問題があった。最終的には、平成16年7月安城市からの明確な回答がなかったこと、また岡崎学舎に移転・統合することにより教育環境の学舎間格差が解消されること、平成18年大学・短期大学岡崎学舎も建替えを検討しているなどの諸状況を総合的に勘案し、岡崎学舎に移転・統合することとした。
平成19年、大学・短期大学岡崎学舎は、家政学部の改組及び短期大学幼児教育学科の岡崎学舎への移転・統合により、新5号館、音楽棟を新築した。
平成20年(2008)、大学・短期大学岡崎学舎は、隣接するユニチカ跡地を取得し、グラウンドを拡充し、「テニスコート・クラブハウス・菜園」の整備等を行った。
また、「図書館・食堂」のリニューアル、「こどもの生活専攻」校舎の改修など、教育環境を整備した。
平成20年、安城学園高等学校は男女共学化に伴い城南グラウンド(1万平米)だけでは不十分となり、寮の跡地をこれに加え、さらに安城町に「第2グラウンド」(1万8,000平米)を取得した。
平成20年、大学附属幼稚園は、耐震補強工事が必要となり、本学園創立95周年記念事業の一環として、園舎の建て替えを行った。
平成20年、都市計画道路桜井南部線が園の南側を貫通することとなった。これに伴い桜井幼稚園の園舎の一部が立ち退きとなるため、換地に移転・新築した。
平成19年には短期大学桜井学舎跡地、岡崎西沖駐車場跡地を、いずれも遊休資産となるため整理し、売却した。
平成15年(2003)、短期大学若林学舎跡地、岡崎市羽根町の職員住宅跡地、安城市横山町の職員住宅跡地を、平成21年には、安城市箕輪町の職員住宅跡地を、いずれも整理・売却した。

施設・設備の整備
情報ネットワーク整備
本学園の情報ネットワークの再整備は、平成15年に新たな進展を見せた。それまでは、拠点となる豊田キャンパスとインターネット間で最大1.5メガbps、豊田キャンパスと各設置校間にいたっては、わずか0.128メガbpsの通信回線でしかなく、急速に拡大するインターネット環境に対応するには、速度的に不十分であった。そこで100メガbpsの光ネットワークで各設置校を結ぶ計画がなされた。
この計画の実現により、拠点となる愛知学泉大学豊田学舎と各設置校間では、情報ネットワークを活用した教育・研究活動環境が飛躍的に整備された。
また、同時に法人本部と、各設置校の事務系ネットワークも100メガbpsの光ネットワークで結ばれたことにより、日常業務でのデータの共有化及び迅速な処理を可能とした。
現在では、より快適な情報ネットワークを活用した教育・研究活動の整備のため、それぞれの設置校が直接インターネットに接続し、運用している。

アスベスト対策
平成17年(2005)7月1日から石綿障害予防規則が施行され、本学園でも平成17年9月から順次調査を開始した。
安城学園高等学校では、東棟3階から微量ではあるが石綿が検出された。直ちに教室を閉鎖し、翌平成18年8月、アスベストの撤去・改修工事を終えた。次いで、平成20年10月に愛知学泉短期大学附属幼稚園の2階トイレについて調査したが、幸いに石綿は検出されなかった。その他の設置校についても石綿は検出されず、現在に至っている。

耐震補強防災機能強化事業
平成23年3月11日に発生した「東日本大震災」後、耐震補強・防災機能強化に対する関心が高まった。平成12年(2000)に岡崎城西高等学校第2体育館の耐震補強工事が実施されて以来、平成15年に安城学園高等学校、愛知学泉大学附属幼稚園、愛知学泉大学附属桜井幼稚園で耐震診断を実施した結果、基準を下回った施設の建替え又は改修を段階的に実施してきた。改修工事はフレーム設置のピタゴラム工法である。工期が短く、景観も損ねず、教育研究活動に支援が少ない点と安全性に信頼がおけるため採用した。
また、防災機能強化事業として平成23年に安城学園高等学校東棟校庭にマンホールトイレの設置と緊急時の浄水施設を設置した。安城市との協定により、防災備蓄品の提供を受けることになった。
すでに、平成22年には愛知学泉短期大学附属幼稚園と愛知学泉大学附属幼稚園の温水プールガラス飛散防止事業を実施した。ガラスに飛散防止フィルムを設置し安全性を高めていた。

そして平成24年(2012)に学園創立100周年の事業の一環として、安城学園高等学校と岡崎城西高等学校において冷暖房設備を完備した。
また、岡崎城西高等学校では、全天候型タータンを整備し、教育環境を一層充実させた。
さらに、学園創立100周年を機に施設・設備の修理・修繕5ヶ年計画を策定し、計画的に各設置校の教育環境の整備に努めることとした。

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