第6節 学園祭の10年

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1クラス1企画

安城学園高校の学園祭の基本は1クラス1企画のクラス企画であり、4本柱(①全員集合!でしゃばれ自分、②感動の“輪”を広げよう、③Open your eyes、④弟子入りをしよう)を基本に、デコレーション(1年生)・調査研究(2年生)・ステージ(3年生)と参加型(全学年)とそれらを組み合わせた複合型(全学年)の形態で企画を練っており、社会人基礎力をはぐくむ場所としての役割も持っている。このほかに、主に学園祭実行委員が担う全体企画がある。
学園祭の形態は平成9年度(1997)から平成16年度(2004)までが、土曜日に学園祭のみを行い、日曜日はサルビア秋祭りとして安城サンクスフェスティバル・県民文化大祭典との共同開催をしてまちに積極的に出て総合的な取り組みを行っていたが、学園祭は学園祭として大切にしたいとして平成17年度から学園祭単独開催に戻し、金曜日の学内発表と土曜日の一般公開の2日間開催にした。

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体育祭は学園祭の直前の9月に開催していたが、平成19年度(2007)からは6月開催に変更し、より学園祭に集中できるような日程にした。
全体の統一のため平成14年(2002)以外はテーマを設定している。例年5月末の生徒会合宿でリーダーたちが基礎討論をして決めている。平成17年度(2005)までは象徴的な単語を選んでいたが、最近はフレーズと副題の形で、世界や未来への広がりを感じさせるテーマになっている。
学園祭の持つさまざまな役割の中で、外部に発信する一翼を担っているのがテーマ企画である。外部から講師を招き講演会を中心にする形から、テーマに沿った問題意識を、外部ゲストとともに考えるシンポジウム形式が主流になっている。特に平成19年度からは沖縄・東北や留学生など、様々な地域から招いた高校生と、同じ目線で語り合うシンポジウムが行なわれ、社会的な関心も呼んでいる。

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創作ミュージカルの10年
創作ミュージカルは、昭和63年(1988)に愛知県高校生フェスティバルが発表した「ガンバの冒険」や「やってみようじゃないか、俺たちの手で」のミュージカルを見て触発された鳴戸・夏目・鳥山の3教諭が「あの生き生きとした姿を学校でも!」と願って、「第1次創作ミュージカルSEVENTEEN」をつくった。参加生徒の減少や、生徒の意識の変化、一部担当者への負担の集中などの理由で、第20次を迎える平成20年度(2008)で終了する予定であった。しかし、生徒達の熱い要請もあり「ぜひ続けてほしい」との声で、平成21年度(2009)には第21次創作ミュージカル「明日が生まれる場所」がつくられた。
平成24年度(2012)の第24次創作ミュージカル「アーシャ」は、東日本大震災の風景をモチーフとして製作した。顧問団と生徒実行委員の一部が、安城市の七夕実行委員会のお手伝いで、岩手県大船渡市盛町七夕ボランティアに参加した経験から、「希望・復興・絆」をテーマにした。ミュージカルの実行委員はもちろんのこと、生徒会や学年代表者会議の生徒など、さまざまな組織の生徒達が参加して大がかりな取り組みとなり、当日は大船渡東高校の教員や安城市の方々も多数参加した発表会となった。

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修学旅行の10年
修学旅行の選択メニュー方式はこの10年間で一部コース変更をした。北海道スキーコースは希望者の減少もあり、平成20年度(2008)で終了した。平成21年度からは縄文杉で有名な世界遺産の屋久島コースを新設した。沖縄コースは平成7年度(1995)から平成16年度(2004)までは本島だけではなく、スキューバダイビングなどのマリンスポーツを楽しむために石垣島コースを実施した。しかし、費用が高くなり、また3月の時期は天候不順も多く、平成17年(2005)以降は沖縄本島のみの実施となった。海外コースは従来のシンガポールコースに加えて平成16年度からは上海・蘇州・南京の中国コースを実施した。ただし、参加希望者が集まらず、平成20年度にタイ、バンコクコースに変更した。しかし、同年にタイが空港閉鎖など政情不安となり、急遽韓国コースで実施した。平成21年度以降、海外コースはシンガポールのみで実施している。
あたらしい修学旅行の形として平成21年度(2009)からは沖縄コースと北九州コースで民泊体験を導入した。平成22年度からはシンガポールでホームステイ体験を組み入れ、いずれも生徒たちから高い評価を得ている。屋久島のトレッキングやカヌー体験と合わせて、体験型学習の修学旅行への移行が生徒たちの満足度も非常に高いものにしている。

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国際交流の10年
海外へ留学する生徒は平成14年(2002)から平成23年(2011)までの10年間では5ヶ国、18名であった。なお平成21年度(2009)からの英語コース新設により平成22年度と平成23年度に一人ずつ留学期間を1年延長し、2年間の留学を経験する生徒が出るようになった。
海外の学校との交流では、平成19年(2007)夏に夏のオーストラリアのホームスティ先であるメリマック・ハイスクールからは代表団が来校した。平成23年夏も来校の予定があったが、震災の影響で中止になった。
デンマークのコリング市にあるコリング音楽学校とは安城市の姉妹提携都市ということで関係ができ、平成14年、平成16年(2004)、平成20年(2008)の3度演奏旅行に出かけ、コリング音楽学校からも平成15年(2003)と平成17年(2005)、平成19年(2007)の3度来校し、ジョイント演奏会を開催した。
部活動の海外交流も盛んに行なわれ、吹奏楽部(5回)、合唱部(2回)、バレーボール部(3回)が実施した。
この10年間の夏と冬の海外ホームスティ先は、夏はオーストラリアのゴールドコースト、またはカナダのバンクーバー、冬はイギリス・ロンドンで計画した。しかし、冬のロンドンは平成14年度、平成15年度、平成21年度の3年間は参加者が集まらず中止した。
この10年間では12ヶ国から18名の学生が留学してきた。留学期間は1年間がほとんどであった。国際交流の視点から馴染みのない国からの留学生も積極的に受け入れた。平成17年度、平成21年度は安城市の姉妹都市があるデンマーク、平成18年度(2006)はアフガニスタンとスロヴァキア、平成20年度はメキシコ、平成21年度はベルギー、グアテマラ、平成24年度(2012)は東ティモールから留学生を受け入れた。

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平成18年度に受け入れたマリアム・シャラフォディンは内戦状態にあったアフガニスタンからの留学生であった。アフガニスタンを日本で支援する「NPO法人アフガン復興支援機構」(安城市)やアフガニスタン戦災孤児の学校をつくり、運営している「NPO法人セーブアフガンチルドレンの会」(名古屋)からの紹介だった。市民団体やホームスティを引き受けた市民の方が献身的に支え、TV局や新聞社はひたむきに国のために学ぶ留学生を好意的にとりあげた。
平成22年のサラサール・ロレンサー・タニア(グアテマラ)の留学は平成20年にグアテマラで開催された国際合唱フェスティバル「エンコラ・コラル2008」に参加した合唱部と現地の合唱団の交流がきっかけであった。

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バスケットボール部の10年
男子バスケットボール部は平成11年度(1999)の男女共学と同時に創部した。平成15年度(2003)に創部5年目で全国インターハイに初出場した。その大会では、日本にセネガル人留学生が初めてきた年で、2回戦でそのセネガル人留学生を擁する優勝候補の延岡学園と対戦した。後半相手を振り切り、安城学園男子バスケットボール部の全国デビューとなった。
女子バスケットボール部は平成20年度(2008)の埼玉インターハイで31年ぶりにインターハイ出場となった。平成22年度の(2010)沖縄インターハイでは全国でも珍しい同一監督による男女アベック出場を果たし、女子は2回戦でシード校の聖カタリナ女子を破りベスト16に入った。
平成23年度(2011)には女子バスケットボール部は通算16度目のインターハイ出場を果たした。会場は被災地東北で開催された。

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インターハイと国体 全国大会で活躍
平成15年(2003)、陸上部の河原崎かおりが長崎インターハイにおいて100m走で準優勝を果たす。これは、西村美樹の全国4冠以降の陸上部の黄金期を飾る快挙であった。男子バスケットボール部は平成11年(1999)共学にあわせ創部したが、創部5年目にしてインターハイ出場を勝ちえた。平成15年、16年(2004)はそれぞれベスト16、ベスト8となり、全国にその名をアピールした。以降、全国レベルで活躍をしている。女子バスケットボール部は、全国優勝した黄金期から、久しく全国大会から遠ざかっていたが、平成20年(2008)に実に31年ぶりにインターハイ出場することができた。平成22年(2010)には男女ともに沖縄インターハイ出場という愛知で初の快挙を成し遂げた。

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卓球部は平成24年(2012)、7年ぶりのインターハイ出場を果たした。ソフトテニス部・陸上部とともに力をつけてきている。
「全国大会を目指して」を合言葉に、ダンス部・ゲートボール部が常連として全国大会で競い、そして文化部においても吹奏楽部・オーケストラ部・箏曲部など全国に名を連ねている。また平成18年(2006)にオーケストラ部が2度目の最優秀賞を受賞したことは特筆に値する。
ゲートボール部は、平成16年に安城市ゲートボール協会が高校生への普及を意図し、本校へ創部の依頼がきたことからはじまる。地域貢献の視点で、当初はインターアクト部の部員ではじめた。翌平成17年(2005)に正式に部として発足し、全国大会3位の成績を2度おさめている。平成23年(2011)より、ゲートボール男子部が創設され男女ともに全国で競うこととなった。あらたな100年のスタートにあたって、すべてのクラブが意気高く「全国大会を目指して」を目標として掲げている。

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吹奏楽部の活躍
吹奏楽部は、全日本吹奏楽コンクール全国大会において4度の3年連続出場と3度の特別表彰を受けており、中部日本吹奏楽コンクールにおいては本大会常連校として4度の最優秀賞(第1位)文部科学大臣奨励賞を受賞している。マーチング活動では、平成23年(2011)に全日本マーチングコンテスト(パレード部門)全国大会で金賞を受賞。オーケストラ活動では、弦楽部と共演し全国学校合奏コンクール全国大会で2度の最優秀賞(第1位)内閣総理大臣賞を受賞するなど多岐にわたる活動はすべてが全国的なレベルである。また、地域に根ざした活動も積極的に実施しており、八幡神社(花ノ木町)春の祭典・安城七夕まつり・オータムフェスティバル・デンパークハロウィンパレード・同クリスマスコンサート等をはじめ、小中学校への招待演奏や地域イベントに積極的に参加している。平成17年(2005)には愛知万国博覧会に出演した。県外活動としては4度の全国総合文化祭への招聘や、他県校との合同演奏会等で鳥取・徳島・静岡・千葉・東京・京都・秋田・山形・宮城・岩手・福岡の各県へ出かけている。海外演奏旅行も12回目を数えるが、平成23年(2011)に実施したアメリカ演奏旅行では世界屈指の米・ワシントンD・C空軍バンドとの共演を実現している。

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弦楽部・合唱部の活躍
弦楽部は、全国学校合奏コンクール全国大会で優秀な成績をおさめるほか、全国選抜オーケストラフェスタには18回連続で出場をしている。平成24年(2012)には愛知学泉大学オーケストラともベートーヴェン作曲の交響曲第9番「合唱付」や、チャイコフスキー作曲のバレエ音楽「くるみ割人形」(全幕公演)等で共演している。そのほかにも数多くの世界的な音楽家と共演している。
合唱部は、コンクール活動に積極的に参加しており、全国「花嫁人形」合唱コンクールにおいては2度の優秀賞&NHK新潟放送局賞と一度の最優秀賞を受賞した。平成20年(2008)にはグアテマラ国際合唱フェスティバルに招聘され海外公演を実施した。声楽アンサンブルコンテスト全国大会においては平成21年(2009)に優良賞を受賞し、平成22年(2010)にはビクトリア合唱団来日公演に賛助出演している。

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部活動10年の実績と活動
この10年間でもっとも輝いた部活動の一つが吹奏楽部である。吹奏楽部はこの10年で全日本吹奏楽コンクール全国大会に7回出場しただけでなく、海外への演奏旅行、地域での演奏活動等に活躍してきた(詳細は吹奏楽部の活躍の項参照)。
もう一つは、男女バスケットボール部である。男子バスケットボール部は平成15年(2003)に全国総合体育大会へ初出場を果たし、これまでに7回出場した。12月の全国高校バスケットボール選抜大会(ウインターカップ)にも3回出場した。女子バスケットボール部は、平成20年(2008)に31年ぶりに全国総合体育大会に出場し、3回の出場を果たした(詳細はバスケットボール部の10年の項参照)。ソフトボール部は、昭和33年(1958)国体優勝、昭和50年(1975)インターハイ優勝を果たした本校の伝統あるクラブである。この数年、県内での健闘は目覚ましく、全国大会出場まであと一歩のところまできている。
ダンス部は、活動拠点の軸を地域活動に置いてきた。平成14年(2002)から安城七夕まつりではじまった「ダンスポ」へは創設期からかかわり、まちの行事に欠かせない存在となっている。また、同年の全国高等学校ダンスドリル選手権大会へ初参加し準優勝を得た。これを機に飛躍的に技術が向上した。平成19年(2007)からは名古屋のダンススタジオ名鶴ひとみ事務所からコーチの派遣を受けている(詳細は全国大会の章参照)。
平成11年(1999)に創部した野球部は、県の上位を狙うことのできるチームに成長し、現在は60名の部員を抱える。平成11年に創部した男子サッカー部は平成14年(2002)に県大会に初進出し、新顧問に交代後も県で上位を争うチームになってきた。平成18年(2006)創部の女子サッカー部は平成22年(2010)に南山高等学校女子部と編成したチームで県3位になり、県の上位に迫っている。また、小学生を対象にしたサッカースクールも開いている。
同好会を経て平成21年(2009)に創部した箏曲部は、創部3年目にして平成23年(2011)に全国高等学校総合文化祭に出場を果たした。その他の部活も全国大会とまでは行かないまでも、夢を大きく持ちながら活動を行っている。部活動の元気さは学校の元気さにつながる。次の100年へのスタートの年、学校として力強く応援していきたい。

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