第3節 各幼稚園の教育実践の展開

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幼稚園教育要領の改訂
文部科学省は、平成20年(2008)3月28日に幼稚園教育要領の改訂を行い、翌平成21年度(2009)から実施した。今回の改訂は、約60年ぶりに教育基本法が改訂され、あらたに幼児期の教育が規定されたことなどを踏まえ、生きる力の基礎を育成すること、豊かな心と健やかな体を育成することを基本的なねらいとして行われたものである。
このことは、3つの附属幼稚園が、故寺部紀予子園長から受け継いできた教育理念と通じるものがある。そのため、3園は引きつづき安城学園の建学の精神「真心・努力・奉仕・感謝」の四大精神に基づき、遊びを通して豊かな心と健やかな身体を育むとともに、子どものもつ潜在能力をさらに開花することができるようにさまざまな才能開発のチャンスや環境(人とのふれあい・自然環境・社会環境)を整え子どもたちを育んできた。

愛知学泉短期大学附属幼稚園の教育方針と実践
短大幼稚園の教育のコンセプトは「可能性にチャレンジする子どもたち」である。これを前提に、遊びや集団生活を通して「真心・努力・奉仕・感謝」の建学の精神を伝え、「元気な子・明るい子・考える子・思いやりのある子」を育てていくために、子どもたち一人ひとりの潜在能力(=無限の可能性)を引き出せるよう教職員が自分たちの言葉や行動を通して、常にチャレンジ精神で物事に取り組んでいくことを教育方針に掲げている。
まず、建学の精神を次のように伝えている。

・真心 どんなことでも誠意を持って、子どもたちと接していく。
・努力 最後まであきらめず、前向きにチャレンジしていくことの素晴らしさ、そして成し得た後の感動や喜びを体験させていく。
・奉仕 気がついたことは、自ら積極的に行動できる心を育む。
・感謝 自分の心を豊かにしてくれる周囲の出来事に感謝できる気持ちを育てる。

そして、具体的な教育方針は次のとおりである。

・いろいろな人や物に感謝する心を育みます。
・お互いに助け合う思いやりの気持ちを育みます。
・最後まであきらめずにチャレンジしながら、やり抜く習慣を身に付けます。

本園の建学の精神の伝え方として、各学年の心身の成長・発達の状況を考慮し、幼稚園教育要領の5領域を踏まえた保育内容を検討しながら実践にあたっている。
本園は園舎や園庭が狭いので、月1回は各学年とも、〝お出かけ〟(公園・プラネタリウム・水族館・しじみ採り・芋ほり等)をし、自然環境の中で生命の尊さを学ばせると同時に好奇心やチャレンジ精神、公共のマナーや集団マナーも育んでいる。

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本園の特徴ある保育としてあげられるのが、隣接している系列校である安城学園高等学校との交流である。安城学園高等学校のゼミの生徒が授業の一環として保育実習を継続的に行ったり、サマーキャンプにボランティアとして参加したり、ゼミの発表の時に園児たちも出演したりするなど、子どもたちとの交流を深めている。そのほかにも吹奏楽部が安城七夕まつりの鼓笛パレードに賛助出演したり、高校の音楽室でコンサートを開いたり、子どもたちに音楽の素晴らしさと夢や感動を与えてきた。また高校の食堂でおやつを食べたり、学園祭で色々な催しを探検したりするのも子どもたちの楽しみの一つとなっている。今後、系列校との交流がさらに深まるよう検討していきたい。また系列の愛知学泉大学・愛知学泉短期大学には幼児教育を学ぶ専攻・学科もあり、幼稚園の行事や教育実習を通して年上のお兄さん・お姉さんたちと触れ合う機会を豊富に設け、夢や希望、感動する心を培っている。

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愛知学泉大学附属幼稚園の教育実践
大学幼稚園の教育のコンセプトは、「未来にはばたくこどもたち、ここはみんなの宝島」である。このコンセプトに基づき次の4つを教育方針として掲げている。

・運動による健やかな保育を目指し、健康な心と身体を育てます。
・バイリンガル教育で〝世界はひとつ〟の精神を育みます。
・創作活動で夢のある、心豊かな環境を創ります。
・奉仕活動で生命に感謝し、思いやりの心を育みます。

こうしたコンセプトと教育方針のもと行っているのが、「『できた!』という自信を育む教育」である。子どもたちに、とにかく色々な経験が出来る環境を整え、子どもたちの持つ潜在能力の開発に努めている。そのため思い切り駆け回ることのできる全長65メートルの園庭。雨の日でも充分に活動できる30メートルの遊戯室、小学生でも充分泳ぐことのできる10メートルの温水プール等、すべての活動に子どもたちが充分満足出来る環境を整えている。

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また1年を通して園外保育を行うほか、七夕子ども会・収穫祭・サマーキャンプ・しじみ採り・たまねぎ掘り・運動会・クリスマス子ども会・生活発表会・もちつき・節分の豆まき・観劇会・ひなまつり子ども会等々多彩な行事を行っている。また日本の伝統文化の勉強も行ってきた。
また課外教室も充実しており、保育終了後に園内で9つの課外教室が行われている。スポーツクラブ・サッカークラブ・新体操クラブ・英会話教室・絵画造形教室・ピアノ教室・バイオリン教室・音楽教室・もじクラブである。いずれも楽しい雰囲気の中で行われている。

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愛知学泉大学附属桜井幼稚園の教育実践
桜井幼稚園が位置する安城市桜井町は、安城学園創立者の一人である寺部だい先生の生誕の地である。この地に学校施設を設け、地域の子どもたちに教育の機会を提供することは、だい先生の教えを継承していくことに通じる。桜井幼稚園は、そのことに誇りをもって教育を行ってきた。桜井幼稚園のコンセプトは、「育もう 心の芽ばえを!」である。そして、このコンセプトは次の3つの教育方針として展開している。

・自分で「あそび」を見つけとことんのめりこんで遊べる子に。
・豊かな生活体験から自ら学び、問題を解決していく自主性を持てる子に。
・指示されるのを待つのではなく、自分の頭と心で考えて判断して生活できる子に。

「『じっくり待つ』すると子どもはまっすぐ育ちます」というのが桜井幼稚園の教育実践の基本的な姿勢である。大人が「じっくり待つ」と子どもはすくすく育つ。子どもが自分で考えて答えを出すのを待つのが大人の役割である。子どもを見守る温かい心が子どもたちに力強い勇気を与える。そして、大人たちは子どもたちの持っている色々な可能性が芽生えることを心から楽しむように心がけなければならない。
また、子どもの時間は、子ども自身の成長のために使われることが大切である。子どもたちの大切な時間を大人が満足するために費やすのはもったいない、二度とやってこない子どもたち自身の時間をゆっくりじっくり楽しんでほしいという願いのもと桜井幼稚園の年間行事は、計画されている。昔ながらの伝統行事である七夕会・餅つき大会・節分の豆まき・ひなまつり会をはじめ、森のなかよし運動会・お泊り会・夏まつり・冬まつり・さつま芋掘り遠足(焼き芋パーティー)・じゃがいも掘り遠足(じゃがバタパーティー)・森の音楽祭(生活発表会)・クリスマス会等である。また、心の栄養になるコンサート(ケロポンズうきうきわくわくコンサート・ピアニカ王子コンサート・絵本ライブなど)や観劇会“パン”を行っている。
桜井幼稚園の保育の特長として、わらべうた遊び・英語あそび・のびのびの~ん体操・剣道あそび・お茶会あそび・ロボットあそびなど独自のカリキュラムがある。保育終了後の課外活動も、和太鼓クラブ・お抹茶クラブ・鈴之助クラブなどがある。

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