第1節 全体の流れ

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寺部学長から若林学長へ
平成14年(2002)から24年(2012)に至る期間の最初の2年間は、寺部曉理事長が愛知学泉大学学長と愛知学泉短期大学学長を兼任していた。しかし、安城学園の組織が大きくなったことや、学園や大学を取り巻く状況が困難さを加えていったことから、理事長が学園全体の経営・運営に専念することが望ましいという判断が生まれ、平成16年(2004)4月に経営学部若林努教授が学長に就任した。

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若林学長は、昭和19年(1944)、鹿児島県に生まれた。愛知大学法経学部を卒業後、アメリカに留学した。経営学部設立の1年後に本学へ赴任し、教務委員長や経営学部長等の要職を務めてきた。専門はアメリカ経済である。
若林学長が就任した時期には、本学だけではなく日本の大学全体を取り巻く環境はきわめて厳しくなっていた。平成4年(1992)にピークを迎えた18歳人口はその後かなり速いテンポで減少し、平成10年代に入るとピーク時の3分の2、120万人台にまで減少した。また経済のグローバリゼーションによる国際競争の激化により、日本の雇用構造も高度成長期に比べて大きく変化し、新卒者の就職環境も様変わりした。さらに、いわゆる「ゆとり教育」を受けた世代が大学・短大に入学するようになり、それまでとは異なる教育のあり方を再構築することが焦眉の課題となった。若林学長は、寺部前学長の方針を受け継ぐとともに、いっそう厳しくなった環境のもとで、その方向を発展させようとした。また若林学長の就任と同時に、岡崎学舎担当副学長に古山庸一教授(家政学部)が就任し、岡崎学舎を統括することになった。

応募者の減少
大学を取り巻く状況のうち、とくに18歳人口の減少が本学の募集状況にも大きく影響を与えている。
3学部のうち家政学部についてはかなり安定した状況を維持してきた。平成14年度から19年度(2007)までの2専攻体制の時期は家政学部の定員は140名(管理栄養士専攻80名・家政学専攻60名)であった。平成20年度(2008)から3専攻体制にし、定員も190名(管理栄養士専攻80名・家政学専攻40名・こどもの生活専攻70名)に増加させ、家政学部の適正規模である200名体制に向けて一歩前進した。この10年間の定員充足状況を見ると、平成17年度(2005)と18年度、そして平成20年度はやや定員を割っている。しかし、他の年度は定員を充足していて、10年間のスパンで見ると定員充足状況はほぼ安定している。とくに、管理栄養士専攻の人気は高い。また、認可の時期が年度末であったため発足時には定員を割っていたこどもの生活専攻も徐々に定員を満たすようになった。なお、家政学専攻については、何を学ぶことができて、卒業したら何になれるのかという点がやや曖昧であり、定員未充足の状態が続いた。

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それに対して、豊田学舎両学部は苦戦を強いられてきた。経営学部とコミュニティ政策学部の定員割れが平成16年度以降から慢性化したのである。このため、経営学部は経営情報学科の募集を平成17年度から停止して、入学定員200名の経営学科1学科にするとともに、コミュニティ政策学部の入学定員も100名体制にして入学者の安定的な確保を目指そうとした。しかし、その後の入学者は経営学部が平成17年度に122名、平成22年度(2010)に106名、コミュニティ政策学部が平成17年度に83名、平成22年度に49名と推移し、入学者の減少に歯止めをかけることができなかった。このような状況を踏まえて、後に改めて述べるように、平成23年度(2011)から豊田学舎の2学部を融合して1学部1学科に改組し、現代マネジメント学部として再出発することとなった。

教育のイノベーション
この10年間の大学を取り巻く環境は大きく変化した。その中で、本学は学生一人ひとりの潜在能力を可能性の限界まで開発するために教育にイノベーションを興そうと努力してきた。具体的には、「社会人基礎力育成プログラム」の導入である。この教育プログラムは、「基礎学力」と「専門知識・技術」と「社会人基礎力」の3つを三位一体として統合的に身につけ、課題を発見し解決できる社会的に有為な人材を育成するものである。
この社会人基礎力については、別の場所で述べてあるが、本学の教育のあらゆる場で主体性・働きかけ力・実行力(以上、「前に踏み出す力 action」)、課題発見力・計画力・想像力(以上、「考え抜く力 thinking」)、発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力(以上、「チームで働く力 teamwork」)の12の能力要素の育成を意図するものである。これは、学生の学ぶ意欲をどのように喚起するか、どのようにしたら学ぶ歓びに結びつけることができるかという教育の課題に応えようとするものであった。そして、この社会人基礎力を核にした教育によって一人ひとりの潜在能力を開発するという認識の下で本学の教育のイノベーションは進んでいる。
なお、現在世界レベルで進行している「教育の世界におけるグローバリゼーション」に対する大学としての対応は今後の課題である。これに関しては、大学としては従来、北京第二外国語学院と協定を結び交流を行ってきたが、この10年間も北京第二外国語学院からの教員の派遣は継続されてきた。また、愛知学泉大学の側からも集中講義等で訪れているし、双方の学生が留学している。短大と協定を締結しているカピラノ大学・烏山大学との交流も進んでいる。特に、烏山大学からは愛知学泉大学に毎年1年研修生を含む留学生が数名入学している。こうした国際交流によって国際的な視野を広めていくことはこれからの教育には欠かすことはできない。

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