第2節 教育理念と保育の特長

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(1)教育理念
平成元(1989)年の幼稚園教育要領の改訂に当たって、最初に議論が行われたのは、子どもの発達と子どもを取り巻く環境の問題であった。教育要領が制定されてから20年以上の歳月が経過しており、その間、子どもを取り巻く環境の大きな変化につれて、子どもの発達形態も変わってきた。
元年の教育要領は、第1章総則1として、幼稚園教育の基本を「1、幼児の主体的な活動を促し、幼児期にふさわしい生活が展開されるようにする」「2、遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにする」「3、一人一人の特性に応じ、発達の課題に即した指導を行うようにする」とした。
しかし、10年改訂では、次の内容が加えられた。すなわち「その際、幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき、計画的に環境を構成しなければならない。この場合において、教師は、幼児と人やものとのかかわりが重要であることを踏まえ、物的・空間的環境を構成しなければならない。また、教師は、幼児一人一人の活動の場面に応じて、様々な役割を果たし、その活動を豊かにしなければならない」というものである。
附属幼稚園の建学の精神は、「真心・努力・奉仕・感謝」である。この四大精神に基づき、遊びを通して豊かな心と健やかな身体を育むとともに、子どもの持つ潜在能力がますます開花することができるように、さまざまな才能開発のチャンスや環境(人とのふれあい、自然環境、社会環境)を整えている。

(2)保育の特長
健やか保育
従来は温水プールでの保育を行っていたが、平成4年より、幼児活動研究会よりスイミングインストラクターとして、芳我岳思講師、石川弘城講師を迎え入れた。それまで教師はほとんどが女性で構成されていたので、毎週一日男性講師が温水プールでの保育を担当することのメリットも大きかった。子どもにとっても保護者にとっても好評であったため、引き続き平成5年より、保育内容に体操を取り入れ、同じく幼児活動研究会よりインストラクターとして和田吉弘講師を迎え入れた。体操を取り入れたことで、子どもたちも縄跳び、跳び箱、組み体操、鉄棒などに今まで以上に興味を持つようになった。
また、従来は子どもたちに薄着や裸を奨励してきたが、紫外線問題がクローズアップされると同時に年々アトピー性皮膚炎の子どもも増加しているので、裸はともかく薄着だけを奨励している。
子どもが健やかに成長するうえで一番大切なのは心の問題である。すなわち、子どもの保育に携わっている教師が、日々、建学の精神である「真心・努力・奉仕・感謝」の四大精神の実践をめざし、生き生きと輝いている姿から、子どもたちもこの精神を自然と身に付けることができるように環境を整えている。建学の精神については、年間を通して保護者にも伝えている。

バイリンガル教育
昭和50(1975)年に初めてバイリンガル教育を取り入れ、昭和54年には初めての外国人講師ハリー氏を迎え入れた。
バイリンガル教育とは、2カ国語併用教育のことである。実際には外国人講師と一緒にゲーム、歌などを楽しみ、自然な形で英語に興味、関心を持つことができるような環境を整えている。バイリンガル教育でもっとも大切なことはやはり心の問題であって、英語の習得というより、外国語としての英語を通して、「世界中のお友だちと仲良く手をつなごう」「世界はひとつ、地球もひとつ、大切な命もひとつどれをとってもかけがえのない宝物である」ことを伝えている。
講師としては、アメリカ、バングラデシュ、カナダ、フィリピン、ニュージーランドなどの国の出身者にお願いしてきた。

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創作活動
幼稚園で教師の手作り絵本『壁画ものがたり』が昭和50年に発刊されてから、今年でちょうど28年目を迎えた。普段子どもたちと心をひとつにして、遊んだり、さまざまな活動を楽しんだりしている教師が、子どもの心に響く物語を作成して、それを保育にも取り入れ、子どもたちに夢のある心豊かな環境を整えている。
完成した『壁画ものがたり』は近隣の図書館、小学校に寄贈するとともに、感想や意見をもらい今後の参考にしている。
子どもの絵画制作を地域の展覧会に出品もしている。たとえば、『郷土のお祭りの絵』『教育美術展』『未来の科学の夢絵画展』『リトルアーチスト絵画展』『安城七夕祭り絵画』などである。絵画展に出品して受賞することもすばらしいが、それ以上に、絵画を通して自分を表現する絶好のチャンスと考えている。
また、年々ごみの問題がクローズアップされているが、幼稚園でも廃材を利用して、子どものアイデアをふんだんに取り入れた傑作を次々と誕生させている。子どもは想像力と創作力が豊かで、まさしく、生まれながらの芸術家と言える。
毎年3学期には観劇会を開いている。今まで、劇団うりんこ、劇団どら、劇団ピッカリ座、劇団ちろりん、劇団バクなどが来園し、子どもたちも教師とともにお話の世界に吸い込まれ、楽しいひとときを共有している。このような経験は、教師にとっては日頃の保育に大いに参考になると同時に、子どもたちにとっては感性を育む素晴らしい環境のひとつになっている。

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奉仕活動
バイリンガル教育と同じように、子どもたちに「世界中のお友達と仲良く手をつなごう」と言葉をかけ、また、「世界中の子どもたちが幸せになるように」という願いを込めて、年間通して1の日運動を中心に奉仕活動を行っている。小さなビニール袋や古封筒に入れた1円玉やベルマークなど、1年間に集められた多くの人々のまごころ(収益)は、毎年12月1日、歳末助け合い運動に協力するため、子どもたちの代表が、NHKと東海テレビ局に寄付に出かけている。この模様はいつもテレビで放映される。時として、火山の爆発や水害などが起きたときにも積極的に協力している。奉仕活動を通して子どもたちに優しい気持ちを育むと同時に、すべてのものに対する感謝の心を育てている。

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