第3節 既設学部の機構改革

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(1)家政学科―コースの新設と2専攻体制への改組―
家政学フォーラム開催
平成3(1991)年10月、家政学部は安城学園創立80周年記念行事の一環として、女子短期大学・生活文化研究所の協賛を得て、家政学フォーラム「家政学の将来を考える」を開催した。当日のテーマ講演はお茶の水女子大学の中嶋利誠教授と仏教大学(前・京都府立大学)吉野正治教授であった。両氏は家政学部から生活科学部への改組に携わった経験から、両大学がどんな学部にしようと試みたかについて理路整然と、時には熱っぽく話した。
講演のなかで印象深かったのは、「生活現象を科学の厳密さで認識することは必要だけれども、それだけに終始すれば家政学は各専門領域に分解することになる。これを防ぐには、それぞれの生活現象のなかに問題を見つけ、それを解決する道筋を考えることである」(中嶋氏)、「衣食住が家庭で営まれているからという理由で、それらを取り上げてさえいれば家政学であり、だから家政学は家庭生活を中心とすべきだというのは間違いで、われわれがかかわりあっているそれぞれの生活のなかに衣食住があるのだと考えるべきだ」(吉野氏)という両氏の主張であった。
このフォーラムを契機に、本学部においても「家政学」を「生活科学」「生活文化」ととらえる方向性が高まっていった。

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生活文化コースの新設
家政学部では、平成3年から、栄養・食品科学・被服・欧米文化の4コース制で教育が行われてきた。
被服コースでは、学部の創設以来「衣生活に豊かさと合理性を盛り込める人」の養成を教育の目標に置いてきた。しかし、家事の社会化が進展し日常的に個人が縫製することはほとんどなくなり、どのように装うかが重要視されるようになった。このような衣生活の実態から、「衣生活に豊かさを盛り込める人」の育成に重点を置いた教育にシフトすることが必要であると考えられた。現代あるいは次代をモノの形で表すのがファッションであるとすれば、ファッションすなわちいかに装うかの追及によって、現代の衣生活の豊かさの実現が可能になる、という考えにいたるようになっていた。
一方、それに先立つ昭和52(1977)年、「比較生活文化に造詣の深い国際教養人」の育成をめざして欧米文化コースが設けられていた。
近年、さまざまな領域でグローバル化が進行し、文化相対化に対する認識が必要であるとされている。日本人と欧米の人々との生活に取り組む姿勢や生きがいの求め方は対照的で、この生活文化のズレが両者の相互理解を妨げる壁になっている。「日本は金持ちだけれども、豊かではない」という外国人の日本観をしばしば耳にする。効率第一主義・成長至上主義の産業優先時代に日本人は「カネ・モノ」の充足を求めて忙しく働き、物質的豊かさを獲得したが、その豊かさを実感できないでいた。そして、豊かな生活には時間的ゆとりと空間的くつろぎが必要であると気づき始めた。
ところで、空間的くつろぎを得る前提としては時間的ゆとりが不可欠であり、豊かな生活にはまず自由時間を増やしたうえで、それを活用する知恵が求められることになる。
このようにして、豊かな生活の追及のため、時間的ゆとりの面と空間的くつろぎの面とから、それぞれアプローチしてきた欧米文化コースと被服コースとが、平成6年、生活文化コースに統合されることになった。
これによって、家政学部は栄養・食品科学・生活文化の3コースの体制となった。この後、家政学部は家政学科1学科3コースから管理栄養士課程を持った栄養・食品学科と生活文化学科の2学科を有する生活学部として再発足することをめざしていた。しかし、平成7年、大学の将来構想から考えて、新学部を加えた3学部の体制にすることを早急に実現すべきだとする故寺部清毅前学長の決断で、家政学部の変革は延期されることになった。

生活文化コースの概要
生活文化コースは、人間の内部環境における生活事象を、主として自然科学的に扱う栄養・食品科学コースに対比する形で、人間の近接外部環境におけるそれを、主として社会・人文科学的に教育・研究するコースとして、平成6年に新設された。これは、時間・空間環境に対する人々の生活欲求が、文化的、精神的な要素を色濃く含んできているからである。これまでとは異質の豊かさを生活のなかで実現しようとするには、「人が自由に自らの活動を選択することのできる時間の枠組み」としての余暇をどう過ごすのか、あるいは、衣・住空間がどうあればアメニティの高い生活を営めるか、を追求することが、これからの生活上の重要な問題となると考えられたからであった。
生活文化コースでは、生活文化の比較考察を目的に「海外研修」を必修科目とした。学生は2年生から4年生の間にヨーロッパ、アジア、アメリカの3地域のうち1カ所を選択し、学生一人ひとりが設定したテーマで現地調査を行う。その調査結果はレポート集と海外研修旅行写真展で発表する。
第1回は7年8月31日から10日間行われ、ロンドン・フィレンツェ・パリの3都市を中心に19名の学生が参加した。
同コースで取得できる資格として、博物館学芸員と社会教育主事の2つを設定した。なお、この2つの資格取得を経営学部とコミュニティ政策学部でも取得できるよう、学則の変更を行い、平成11年度より実施した。

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本学で何を学ぶか
平成3年から、従来の学習の手引きに代わって、各設置科目のシラバスを掲載した「キャンパスライフ」が学生に配布されている。9年度版で学生に示された「本学で何を学ぶか」での生活学と生活文化についての考え方をここに掲載する。

「本学で何を学ぶか」
〈生活学とは〉 従来の家政学では、家庭こそが「守られるべき城」であり、家族を単位とする家庭生活(消費生活)を取り仕切ってさえいれば、家族全員の幸福な生活は保証されうるのだと考えてきた。しかし、現在、あちこちの領域で、家庭生活を侵す社会からの働きかけが見られ、このままでは家庭が崩壊してゆくのではと憂慮されている。このような従来型家政学での考えは、家庭を生活全体に対する閉鎖システムに閉じ込め、社会からの影響を家庭が一方的に受ける状況をもたらした。それ故、トータルシステムである生活のサブシステムが家庭生活であり、両者間の相互関係を成立させるため、家庭生活が生活全体に対し開放されなければ、家庭生活の破壊に歯止めをかけることができないことになる。本学の家政学が、対象とする生活現象を総体的に把握し、よりよい生活を存在させてゆく理論や方法を考究する生活学へと転換してきた理由がここに存在する。

〈ジェネラリストとスペシャリスト〉 生活学の基礎を構築するための基礎・共通専門科目では、生活の総体的把握と家庭生活を生活全体との関係でどう捉えてゆくのかについて学ぶが、この学習過程において、物事を全体として考える能力が養われる。物事の功罪が半ばし、是非を単純に論じえないほど複雑な現代の諸問題にアプローチするには、このようなジェネラリストの眼が必要であり、これを備えることが今ほど求められている時代は他にない。1年次から諸君は、栄養、食品科学、生活文化の各コースにおかれている専門科目の履修を通してスペシャリストを目指しての道を歩む。この場合、各々が極めて狭い専門領域に興味を限定し、そこだけの能力を増進させようとすることがないよう留意されたい。

〈生活文化コース〉 生活文化コースでは、生活現象を生活文化としてつまり生活の理化学的法則ではなく生活の文化的意味として捉え、社会、経済、政治など生活の諸領域を含んだ総合的な立場からアプローチし学習する。そしてこのようにして捉えられた生活文化の基礎知識を習得し、さらに専門科目を学習することで、様々な地域社会の生活文化を比較理解する視点をもち、将来の社会の在り方(余暇社会、国際社会など)を見通しつつ、より豊かな生活文化を創造しうる能力をもった生活者および専門的職業人を養成することを目指している。
このような人材を養成するために専門科目は2つの科目群から構成されている。生活が展開する空間と時間を軸に生活文化にアプローチし、豊かな生活空間をデザインしようとする「造形文化」科目群と豊かな生活時間とくに余暇時間をデザインしようとする「余暇文化」科目群がある。

「学習の手引き」平成9年度版には次の事柄についても記載されている。

〈卒業研究〉 4年次には、各コースの専門領域を通して、それまでに学んできた生活学を集大成するため、卒業研究に取り組む。各自の選択した研究テーマが狭い専門領域に属していることが多いので、必ずその研究が生活の次元でどのような位置を占めるのかを考えてもらいたい。それは、生活学がよりよい生活を存在させてゆく理論や方法を考究する目的学であるからに他ならない。卒業研究には、①一人1テーマで研究を進め、成果を卒業論文にまとめあげる、②セミナー方式で、大きなテーマを複数で研究をするが、その一部について、さらに深く追及するという2通りの履修方法がある。各人の希望によって、それらのいずれかを選択する。自らがたてた仮説を実証するための方法として、文献やフィールド調査、実験が用いられるが、食品科学コースでは後者が主な方法として課せられる。

〈国際化、情報化対応の教育〉 国際化、情報化の時代に対応する基本的手段として、英語力やコンピュータの操作能力が要求されている。英語においては読解力も必要であるが、少なくとも電話で話せる会話力を身につけられることを望む。1年次には、コンピュータがわれわれに、どんな能力を付加してくれるのかについて学ぶが、そのためには、コンピュータを働かせるためのソフトがどのようにプログラミングされているかを知る必要がある。2年次以降では、専門領域で用いられる事の多いいくつかのソフトの利用法を学ぶ。また、ワープロ操作の能力は、現代人にとって必須の素養であり、4年次における卒業論文の制作がワープロによって行えるまでに各自の能力増進に努めてもらいたい。

〈資格等の取得〉 これまでの日本の社会において、当然のこととされてきた終身雇用制を見直す動きがみられる。これまで就職時に、在学中、友人達との人間関係がどのようであったのか等、その人の人柄がむしろ重視されてきたが、その人の能力が問題とされるようになることが予測される。取得した資格はその人の能力の程度を示すことに留意し、資格取得のための課程を是非履修するよう勧めたい。

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管理栄養士専攻の設立―2専攻体制へ―
近年の生活習慣病の増加、高齢社会を迎えた社会の情勢に伴い、栄養士の役割も健康の維持・増進にとどまらず、医療施設や在宅医療の場における傷病者に対する治療、更に疾病の予防に当たる医療チームの一員としての役割に重点が置かれるようになった。更にわが国をはじめ先進諸国では、医療費の高騰から、医療現場における医療を必要最小限として、不足分を在宅医療で補わざるを得ない状況に陥っている。これらのことが、厚生労働省が早急に管理栄養士の質を高めることを目的としたカリキュラム改訂に踏み切った背景にあるものと思われる。平成14年からは新カリキュラムが発足し、旧カリキュラムでは4年制の学部教育を受けていても、1年間の実務経験がないと管理栄養士国家試験が受験できないことになった。
本学では、これに先立つ9年5月、安城学園政策室が理事長の諮問機関として発足した。ここで描かれた未来構想のなかで、大学・短大の栄養士養成施設の改革(大学はなるべく早い段階で管理栄養士養成施設へ移行する)が優先課題として取り上げられた。厚生省が提示した「21世紀の管理栄養士等のあり方検討会報告書」の主旨に沿って、できる限り早急に、管理栄養士の養成施設へ移行することが課題とされた。
本学栄養課程への応募者数の状況を見ると、18歳人口減少期である平成6年度から10年度までは定員の10倍を超えていたが、入学定員が50名になった11年から12年度には6倍となった。この応募者減少の背景には、栄養士に求められる知識や技術、社会状況や生活スタイルの変化を反映して高度化・専門化してきていることが考えられる。4年制大学志望者が社会の要請に敏感に反応した結果、指向が栄養士から管理栄養士へと移ってきていた。

管理栄養士専攻設立の経緯
移行のための準備段階として、まず定員の増員が企図された。当時の定員増の必要性としては以下のようなものが挙げられた。

1、高学歴社会といった社会状況と、女子学生を中心とした4年制大学志望の増加。
2、本学園が所在する愛知県三河地区から静岡県西部にかけての地域には、本学園以外に栄養士養成施設がない(栄養課程在学生の出身状況は、三河地区、静岡西部地区が約50%を占めている)。昭和62年度より全国に先駆けて家政系大学として男子学生を受け入れたことにより、本学は愛知県内の4年制大学で、男子にとっては栄養士免許取得可能な唯一の施設となっていた。

平成11年4月には、家政学部家政学科栄養課程の入学定員35名を50名に増員することが厚生省より認可され、新たな入学定員で発足することとなった。その際、学生に対する教育の質の低下を来さぬよう、実験・実習については25名×2クラスによって行うなどの配慮をした。
12年4月27日、第1回の管理栄養士専攻設置準備委員会が開かれた。この委員会で、厚生労働省の指導・助言に基づき本学部の方針が検討され、新しい教員の採用、短期大学を含めた人事異動、設備の充実、増設が図られた。13年10月末日には文部科学省の審査を通過、11月末日には新しい設備を集めた4階建ての新3号館が旧集団給食施設跡に完成した。翌14年1月には厚生労働大臣より管理栄養士養成施設の認可が下りた。
そして14年4月、家政学部家政学科管理栄養士専攻として発足、本学部は1学科2専攻体制へと脱皮した。衣食住余暇を中心として、生活に関する専門知識を理論的・実践的に研究し、多様化する現代社会に適応する人材を育成する「家政学専攻」(定員60名)と、生活習慣病の発症や進行を防ぐため、個人の身体状況や栄養状態、食行動についての高度な専門知識や技術をもち、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導などの業務に対応できる人材を養成する「管理栄養士専攻」(定員80名)である。

管理栄養士専攻の概要
2専攻体制では教育に対応するために建築された新3号館に在る、新しい給食管理実習室はHACCP方式を取り入れ、最新の設備を整えた病院や集団給食施設の厨房でも対応できる実習態勢を整えた。
HACCPシステムとは、食品業界を中心として流通業界および食品関連企業における食品の安全性に対する要求の高まりに応じて導入されたもので、集団給食施設の現場においては食材の搬入、調理、配膳にいたる課程の衛生・安全管理を行うシステムである。衛生的で安全な食事を提供するための合理的なシステムとして近年注目され、特に医療施設の厨房はこのシステムを取り入れている所が多い。
本学における管理栄養士専攻の教育目標は、「家政学の理念を生かして社会と家庭の両面を視野に入れ、人間の生活を包括的に考察できる管理栄養士を養成する」ことであり、家庭生活の把握を基礎においた在宅医療チームの一員として、訪問食生活指導もできる管理栄養士養成を、大きな柱のひとつにしている。
この分野でも活躍できる人材育成のため、訪問栄養指導の実習が可能な施設を設けた。
このような教育を実践するには本学は都合のよい条件にあった。その条件とは同じ家政学部内に生活を科学的に究明する家政学専攻が設置されており、共通科目として家政学の基本的な知識を修得できる態勢にあったことである。また、高齢社会に向けた介護の知識、技術の基本が学べる実習設備、教科も設けた。
一方で、医師の診療録や看護記録から患者の病状を的確に把握できる基礎能力を養うこと、臨床検査結果から患者の病態を迅速、的確に判断し、食事の内容を調整できる能力を養うことができる科目も強化した。
栄養・食事時を含めたライフスタイルの指導・教育に関しては、AV機器をフルに利用すれば効率よく栄養指導ができること、指導した知識を行動に移すための動機づけを効率よく行えるように、カウンセリングや行動療法の理論と、実践上の基本的な技術とを修得できる教科も設けた。
以上のように設備は他の養成施設と同様、充実した内容を揃えている。
それぞれの科目に全国的にも評価が高い教員を新たに招いて強化した。更に良質な教育を実践することで、21世紀が求めている多くの管理栄養士を、世に送り込むことができる。今後、管理栄養士国家試験の合格率100%達成と維持、そして、質の高い教育を実践していくために、優秀な若手教員の育成が課題となる。

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(2)経営学部経営学科の完成年度迎え、新学科増設へ
経営情報学科申請の背景―情報関連従事者の不足―
経営学部設置申請のときに比べて、平成以後の当地方の経済情勢は以下のように変化していた。
「第四次全国総合開発計画」(4全総)では名古屋圏が21世紀に向けて「産業技術の中枢圏域を形成する」ようめざすことを必要としていたが、この地方の主要産業がすでに成熟段階にあることは歴然としていた。産業のいっそうの高度化、知識集約化を図り、かつ、経済のボーダレス化に対応していくために、人材の育成が緊急に求められた。次世代を担う産業と人材の育成により、バランスのとれた「産業技術拠点の形成」を促すことが重要課題とされた。そして、そのためには経営戦略に基づいた情報化の推進が必須の条件であった。しかし、このような情報化を進める高次機能は東京圏に強い1極集中を示しており、名古屋圏におけるこれらの機能の蓄積は大きく立ち遅れていた。
学部設置のときすでに、当地方における高度な知識・技術・管理能力を備えた人材の蓄積の少なさが克服すべき課題とされていたが、それから6年を経て、情報関連従事者の不足がいっそう顕在化していた。豊田市を中心とする100万都市圏では、従来中心をなしていた自動車産業の他に、先端技術産業、情報産業およびビジネスサービス産業へと企業活動の多角化が図られていたが、ここでも情報関連従事者が強く求められていた。
こうした状況に対して、当時、東海4県に経営情報学科はわずか5大学にしかなかった。

経営情報学科の概要
前記のような状況変化のもとで、新学科増設の目的と教育内容の特色は次のように考えられていた。

●設置の目的
新学科設置の目的は産業・経済・社会の高度情報化の進展課程で、とりわけ不足すると見られ地域社会の要請も強い情報関連従事者のうち、主にシステム・プランナーならびに情報の統括・管理者などを養成することにあるとした。
経営学部は昭和62(1987)年に、高度化・国際化・情報化する産業・経済への貢献を柱として設置されたものである。既存の経営学科はその社会的役割を果たし始めていたが、その後、産業・経済・社会の高度情報化は急速に進展・深化しており、本学では、社会的貢献のうえからこのような状態への対応をいっそう強めることの必要性と責任を痛感し、2学科への転換を企図した。
平成元年5月の安城学園理事会は、経営学部に経営情報学科を増設すること、そのために2年度に文部省に設置申請を行うことを決定した。
この決定に従って、2年6月、経営情報学科の設置認可申請が行われた。この申請は受理されたが、やがて教員組織に問題があることがわかり、12月初めに申請を取り下げるという事態になった。この後、教員組織を整え、新学科設置の趣旨やカリキュラムにいたるまでの再検討を深めて、再申請するまでに2年間を要した。
学部新設以来の3年余りの順風満帆な発展の時期に比べて、この2年間は学部新設準備期以上の産みの苦しみを経験した。しかし、この過程を経たおかげで、設置趣旨、カリキュラムにはいっそう磨きがかかった。
その基本方針として、地元産業界や地域社会との結びつきを重視した授業科目を準備し、公開講座の充実を図るなど、学生の教育にとどまらず、地域社会への貢献を積極的に進めることをめざした。

●人材養成と履修モデル
新設する経営情報学科においては、学習指導上、システム開発モデルと情報管理モデルの2つの履修モデルを置くことにした。システム開発モデルでは情報システムの構築・開発に当たるシステム・プランナーなどを養成し、情報処理の中核的人材を社会に送り出すことを目標とする。情報管理モデルでは、構築された情報システムに関するコンピュータ・ソフトを利用して、経営計画、経営予測、経営戦略などを策定し、企業経営に活用しながら、意思決定および科学的な経営活動を統括し得る人材の養成をめざした。

●2学科5モデル制へ
経営学科からは、従来の経営情報モデルを新学科に吸収した。経営学科には新たに産業経営モデルを置くことによって、経営学モデル、国際経営モデル、産業経営モデルの3つの履修モデルを設定し、教育の充実を図った。経営情報学科においては、情報関係諸科目の基礎理論を重視しながら、経営学の専門的な科目を戦略・実践・未来志向の視点から学習することとした。
このように2学科5履修モデルを実現することにより、既存の経営学科を強化しつつ、新設の経営情報学科には特色を出すことが可能となった。
新学科申請に当たっては、既存の経営学科の定員200名から50名を削減し、小規模な増員と合わせて適正な経営規模の確保を図った。この方針から、平成5年、経営学科150名、経営情報学科100名、合計250名の入学定員を持つ学部として再発足した。
平成9年、経営情報学科の完成年度を迎えるに当たって、経営学科20名、経営情報学科10名の3年次編入枠の設置を文部省に申請して認可された。

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