第2節 共学化への歩み

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(1)共学への準備
共学問題検討委員会の設置
平成10(1998)年、移行準備を進めるための共学問題検討委員会が設置された。
委員会は、10年度を共学準備年とし、

1、共学化への基本的合意を確立する
2、共学化移行に向けて、早急に必要な準備を遺漏なく進める
3、平成11年度以降の準備・検討事項を明確にする

ことを課題とした。
その検討事項として、1.広報活動、2.制服制定、3.平成11年度施設設備の3項目を可及的速やかに決定する必要があるものとした。また、これに次いで、1.見学会・説明会の計画・準備、2.募集基準等、3.カリキュラム・コース制、4.文化祭計画、5.クラブ活動受入案、6.「J通信」・「学校案内」作成、7.「本校の教育」作成、8.共学校見学の8項目について、速やかに検討・決定する必要があるものとした。各分掌で年内に必要なものとして、「生徒手帳」「新入生手帳」の全面改訂、平成11年度の計画案、予想される問題点の整理と検討も挙げられた。
前年度の論議の積み重ねがあったとは言え、実質的には女子生徒の受け入れに必要不可欠な最低限度の準備を1カ年という期限付きでなさねばならなかった。この体制づくりが検討委員会の課題であった。

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共学への体制づくり
共学検討委員会は、年度最初の職員会議で、「教育目標《セルフコントロール&コミュニケーション》を掲げての教育改革、完全学校5日制の実施・新学習評価の導入・土曜セミナーを通してのはば広い学習、地域に開放された学校づくりという5年間の展開と36年間の男子校で培ってきたよさを基盤として、共学化によってより魅力ある学校・よりはば広い教育を目指す」という共学移行の基本を確認して、平成10年度の共学準備を開始した。準備の前段は制服制定と広報、中段は施設、後段は生徒手帳・新入生手帳の改訂と施設の最終整理が中心となった。なかでも制服については、最終確定が12月になり、予想以上に長引くこととなった。
共学化への諸課題を解決していくために、個々の問題に検討を行った分掌などの協力が大きかった。特に制服制定については、家庭科・生徒指導部の助言が大きい。また、不特定層への共学メッセージを、ホームページに掲載した広報係の役割も大きかった。全体的な検討・意識づけについては、校内研修会の意義が大きかった。8月21日校内研修会の各分掌などの提案、その後の校長補佐からの検討指示、特に2月27日校内研修会の学校長・事務長からの提案の効果は多大であった。施設設備拡充の決断をはじめ、学校長・事務長・校長補佐の決断が、全体を動かしていくうえで大きいものだった。

●共学化に伴う施設設備の拡充
1、保健室の拡張・改修 用務室一部改造・ベッド数増
2、更衣室間仕切り   中央棟3階フロアに2室設置
3、更衣室新設     第1グラウンドの旧地金魚部室を改修
4、トイレ改修     西1階に5、中央1階に10、2階に4、第1グラウンドトイレに2、第2グラウンドトイレに2の女子トイレ設置
5、入口改修      西2・3階
6、内階段目隠し    中央・北・第1アリーナ全階段改修
7、西棟改修      教室内装改修(天井・壁・床)および廊下壁床改修
8、靴箱改修      中央棟生徒靴箱を蓋付きに取り替え
9、会議室改修     内装および入口
10、渡り廊下舗装   第1アリーナ・中央棟間を歩道化
11、旧棟改修     漫画研究・美術部室の選択教室への内装改修・冷暖房
12、音楽室改修    冷暖房
13、喫煙室改修    入口

●共学化をアピールした新聞記事
1、中日新聞での広報   学校法人としての全面広報
2、中日・共学記事掲載  三河版に両校の共学化記事
3、毎日・共学記事掲載  三河版に両校の共学化記事
4、毎日・安城市広報掲載 杉浦市政広告の一部に共学化

●制服
男子制服との共通性を考え、渡辺弘二氏のデザインに決定した。平成5年の男子のデザイン主旨(建学の精神を現在感覚で表現、シンプルで厳格なシャドーの剣襟・ひとつボタンのジャケットを中心に「気品と無限の可能性」を表現、ヘリンボーン柄は岡崎城を、ワイシャツのブルーラインは矢作川、ボトルグリーンネクタイはスクールカラーを、ボタン・ネクタイピンのデザインは岡崎城天守閣と矢作川を表現、「高い理想・青春の円滑な前進」を表現)に、優しさを加味してデザインされた。

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(2)共学のスタート
共学スタート
平成11年2月、新入生選抜試験が実施され、893名の女子が受験、共学の順調な出発を予測させた。翌11年4月7日、共学最初の入学式を挙行、新入生宣誓を女子が代表して行った。「時代の要望に対応する新しい教育環境、『男女共同参画』の時代にあった幅広い教育を行い、地域に開放された魅力ある学校を目指す」という共学化の方向に沿って、当然のこととして採用した「混合名簿制」は、予想以上の反響を呼び、地方新聞が入学式の取材に訪れた。女子生徒152名、17クラス編成の共学第1期生の高校生活が開始された。

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共学初年度
共学初年度は、全校生徒の1割にも満たない女子生徒が、校内の雰囲気を大きく変えた。従来、男子のみで行われていた学校行事などをはじめとしたさまざまな場面で、男女数の不均衡を感じさせない明るく物おじしない女子生徒の活動が展開された。共学の1年を振り返ったアンケートでは、全教職員の85%が「学内が明るく活性化してきている」、81%が「女子の方が行動面では積極的である」と回答している。女子生徒へのアンケート結果でも、第2学期に行ったものでは、本校への満足度が約70%に達し、年度末に行ったものでは、1年間を振り返って「楽しく充実していた」が63%、「よい友達ができた」が93%という高評価だった。学校側からしてみれば、女子生徒の言動への戸惑いや服装などの指導への苦労が話題になったものの、全体として活性化した共学初年度であった。

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共学の完成
平成11年度152名(新入生の23%)、12年度151名(新入生の23%)、13年度143名(新入生の24%)の女子を迎え、13年度をもって共学化が完成した。共学への移行の数的な目安であった「進学を目標とした女子を2割確保する」という目標どおり、女子生徒は全校生徒の23%となった。
初年度は従来の学校行事に女子が参加するという形で行われたが、11年度からは、学校行事の共学への修正が順次行われた。自主活動部の主催する行事や実行委員会にも、明るく元気な女子が参加することでいっそうの活性化が進んだ。従来の学年行事である1年生の共歩大会や、2年生の修学旅行も特に問題なく実施されている。13年度から希望制に変わった夏山合宿にも女子の参加があった。
生徒指導面をはじめとして検討すべき課題はつねに新たであり、また共学最初の進路保障などの今後の課題もあるが、共学校岡崎城西は、順調なスタートを切った。

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