(1)「第3期経営改善計画(中期計画)」における本学教育と研究
本学園は、平成29年(2017)から令和3年(2021)が計画期間である「第2期経営改善計画」に続く令和4年(2022)からの「第3期経営改善計画(中期計画)」を策定した。この中で本学の取り組むべき教育に関する目標は以下のとおりである。すなわち、「自学・共学システム『学びの泉』の開発と実践」、「法令等に基づいた教育の実現」、「教育の外部質保証システムの構築」、「教育の内部質保証システムの構築」、「SDGsの実現に取り組む学修の推進」、「自学・共学システム『学びの泉』を開発・実践するために必要な教育に関する研究活動の推進」の各目標の達成について、全教職員がそれぞれの立場で階層的・組織的に全力で具体的に取り組むこととしている。この他に、「第3期経営改善計画(中期計画)」では、管理運営、施設・設備、財務等に関する取り組み目標について、具体的な計画案が示されている。
(2)高大教育連携の推進と入学定員320名の充足
寺部曉理事長は、本学と系列校等との教育連携協定に基づく具体化策及び入学定員320人の充足に向けた今後の取り組みの検討について、本学に対して諮問した。本学は、令和2年(2020)の1年間をかけて「短大将来構想委員会」を組織し、この諮問に対する検討を重ね、以下の検討案を理事長へ答申した。
●系列校を始めとする高大教育連携の推進
平成30年(2018)、本学は系列校である安城学園高等学校並びに岡崎城西高等学校との間でそれぞれ「高大教育連携協定」を締結した。これに基づいて、両者は、教育内容と教育方法の一層の充実・発展を期し、かつ両者の安定的な定員充足を実現することとした。そこで、令和4年(2022)より、本学幼児教育学科は、安城学園高等学校との間で科目等履生制度「特別教育プログラム」(入学後、既修得単位として認定)を安城学園高等学校3年生を対象に開始することとした。
また、本学は愛知県立松平高等学校との間で、平成30年(2018)、高大教育連携協定を締結した。これにより本学は併設大学との協働で、「なるには講座」2講座の他、保育士志望の生徒を対象に幼児教育学科が「幼児の運動とリズムダンス」講座を実施するなど、毎年、相互間での教育交流活動が展開されており、この連携を推進することとしている。
食物栄養学科では、平成23年(2011)より、毎年、愛知県立岩津高等学校調理国際科の生徒を対象に本学での栄養学実習体験の教育連携事業を実施している。こうした実績を踏まえて、本学は同高等学校との間で、令和元年(2019)に、高大教育連携協定を締結した。これにより、例えば同年12月には、生活デザイン総合学科のゼミ学生が同高校を訪問して「和風ロールケーキ」の調理法を指導するなど、交流を深めている。今後とも、広く地域の各高等学校との間で教育連携の拡充を図ることとしている。
●入学定員320人の充足に向けた各学科の取り組みと適正規模の検討
食物栄養学科は、平成30年度(2018)から増員した70人の入学定員数を今後とも維持することを確認している。そこで、この定員の充足を維持すため、カリキュラムの魅力(「産学連携事業と商品開発のさらなる充実」「韓国の協定校との教育連携プログラムの開発」「スポーツ栄養と連動した資格の新設」等の検討)を増大させて、2年制の栄養士養成施設としての差別化を一層強化する案を提出した。
生活デザイン総合学科は、平成30年(2018)に入学定員数を160人から減員して130人とした。この対応の結果、入学者数は定員を充足することとなり、令和3年(2021)に引き続いて令和4年(2022)の学生募集では大きく定員を上回ることとなった。本学科は「地域総合科学科」として学修者が自ら科目選択が可能なカフェテリア履修という特色を備えており、広く中部や西日本地域等遠隔地からの入学者を受け入れており、このような一定の需要に応える学科として定着している。そこで、本学科として昨今の入学者の堅調な状況を支えるユニットまたはフィールドの学修内容を点検評価しつつ、新たに、環境、防災、「新たな生活様式」などに関わる人材育成に向けた学びの新設、並びに現代韓国文化の理解、留学、美容系、ビジネス系、eスポーツ、学校司書等の科目の充実を図ることによって、再び、入学定員増員について成案を得ることとしている。
幼児教育学科については、資格に伴う専門職領域への就職率は例年100パーセントであるが、併せて公務員への輩出増大が懸案となっている。この点に関して、既にカリキュラム上での学修支援科目を整備して教員による指導体制の強化を図った結果、輩出の目標数達成に向け年々成果が上昇傾向となっている。また、幼児教育学科の適正定員と教育実施体制の抜本的な対応策の検討では、現下の保育現場を取り巻く社会的要因と増大した各養成施設間の募集力を踏まえて、入学定員数を120人から一定程度減員することを課題として、例えば、生活デザイン総合学科の入学定員増の原資とすることなどについて検討している。
既存の3学科に対する検討とは別に、現代社会における様々な課題への学修需要と研究活動に応える第四の学科の新設についても、議論を継続している。