第1節 全体の流れ

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(1)若林学長から再び寺部学長へ

創立100周年にあたる平成24年(2012)以降も、愛知学泉大学を取り巻く状況は厳しい状態が続いた。以降でも述べるように学生募集もなかなか改善に至らなかった。現代マネジメント学部は恒常的に定員を大きく下回り、家政学部でも平成28年度(2016)以降、一度も定員充足には至っていない。そのような状況下にあった平成28年(2016)4月、寺部曉理事長が再び愛知学泉大学学長に就任した。

平成27年(2015)の学校教育法改正での学長の権限拡大にも見られるように、この時期、全国の大学には強いリーダーシップのもと、ガバナンス改革の推進が求められていた。そこで、寺部曉理事長が構想する「教育のイノベーション」「自学・共学システム『学びの泉』」の実現に向けて再度、大学の経営・運営と教育双方の観点から統括することになったのである。

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(2)自学・共学システム「学びの泉」の構築

愛知学泉大学の教育目標は、「真心・努力・奉仕・感謝」の四大精神の実践を通して社会的に自立する上で必要な建学の精神・社会人基礎力・pisa型学力を統合的に身に付け、自己の潜在能力を開発しながら、職場と地域の課題解決に貢献できる人材を育成することである。この教育目標を達成することを目的に、令和2年度(2020)より、本格的に「自学・共学システム『学びの泉』」の構築を開始した。「学びの泉」のシステムは、「智性・徳性・身体・感性・行動をバランスよく鍛え上げること、自ら学ぶ能力・共に学ぶ能力を鍛え上げること」を目的としている。

令和4年度(2022)よりの運用では「智性・徳性・行動」に焦点が当てられた。

「智性:pisa型学力」は、学修面を中心に課題解決に必要な知識・技能を「獲得する力×活用する力×解決する力」を一つの力として統合した学力に取り組むことである。「徳性:四大精神」は学修・大学生活・就職活動において(真心)無償の心と私利・私欲のない行動、(努力)目標・目的に向かって心や身体を使い邁進する行動、(奉仕)自己の持つ知識・技能などを費やす行動、(感謝)支え合う行動」である。「行動:社会人基礎力」は学修・大学生活・就職活動の場面において「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」を統合した行動である。

「学びの泉」の運用は教務委員会、学生指導委員会、就職指導委員会が主導し、「学泉ノート 自学・共学システム『学びの泉』(11版)」を共通の教材として活用しながら進められている。

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(3)入学者の推移(家政学部・現代マネジメント学部)

家政学専攻は、平成27年度(2015)に定員割れとなり、特に平成29~31年度(2017~19)は大幅な定員割れとなった。募集の柱としてきた家庭科教諭免許取得を目指す高校生の減少と、他専攻に比べ学びと卒業後の進路の曖昧さが減少要因と考えられる。このため令和2年度(2020)、専攻から学科に改組転換を図りカリキュラム内容を見直すこととした。特に、学科名を「家政学」から「ライフスタイル」に変更したことで、新たな生徒層の獲得にもつながり、定員充足となった。

管理栄養士専攻は、平成14年度(2002)の開設以来好調な学生募集であったが、特に愛知県内の都市部を中心とする養成校乱立と看護師など高校生の資格人気の変化などの要因から、平成28年度(2016)に定員割れとなった。翌平成29年度(2017)に再び定員充足となったが平成30年度(2018)以降は定員割れが続いた。このため、令和2年度(2020)に専攻から学科へと改組転換を図り、カリキュラム内容を見直すこととした。以降、徐々にではあるが学生募集は回復傾向となり、令和3年度(2021)は充足率94パーセントまで回復した。

こどもの生活専攻は、小学校教諭免許・幼稚園教諭免許・保育士資格の3免取得という進路を含めた資格人気もあり、平成27年度(2015)まで好調な学生募集が続いた。しかし、管理栄養士専攻同様に愛知県内の都市部を中心とする養成校乱立や小学校教諭を含めた公務員採用の低調さなどが要因となり、平成28年度(2016)に定員割れとなった。平成30年度(2018)には充足率41パーセントまで落ち込んだ。このため、令和2年度(2020)に専攻から学科に改組転換を図りカリキュラム内容を見直すこととした。令和3年度(2021)にやや募集回復となったが、定員割れの状況である。特に、全国的な保育系の分野離れに歯止めがかからず外部環境も厳しい状況にある。

現代マメネジメント学部は、これまでの学生募集の状況や立地面における将来的な見通し等を総合的に判断し、令和元年度(2019)に学生募集を停止した。

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(4)6号館の建設・通信環境等の整備

平成30年(2018)夏、新たに6号館の建設に着手し、続いて岡崎キャンパス内でもっとも古い建造物であった旧3号館部分の取り壊しがはじまった。平成31年(2019)4月に竣工した6号館は、体育館(4号館)の南面と西面をL字型に取り囲むように配され、中庭側から見ると北面の幅16メートルの大階段と2階・3階の2層にわたる緩やかなカーブの全面ガラス張り壁面が印象的な建物である。この新校舎には、300人規模の学生が一斉に受講可能な大教室(641)とフレキシブルな授業や学習形態にも対応可能な教室(ラーニング・コモンズ、ワークショップルーム)が置かれ、学生たちの新たな学びの場となった。

また、令和3年(2021)夏にはWi−Fi環境が強化され、キャンパス内のすべての施設からインターネットにアクセス可能となり、通信速度もアップした。

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(5)新型コロナウイルス感染症予防対策と今後の課題

令和2年度(2020)は、新型コロナウイルス感染症感染拡大による緊急事態宣言の発令により、対面型授業が実施できない状況で、4月の新学期がスタートした。緊急事態宣言による学校閉鎖中に、非対面型授業の実施に向けて、教員・学生用のマニュアルの作成や説明会を開催し、非対面型授業の準備を進めた。この様な準備期間を経て、5月のゴールデンウィーク明けより、全面非対面型授業を開始できた。その後も、学生へアンケート調査を3回実施し、非対面型授業に対しての要望や困りごとなどの課題を抽出し改善した。

また、新型コロナ感染に対する国の要請に合わせて、授業形態を順次、全面非対面、一部非対面(講義科目)、全面対面型授業へ切り替えた。対面型授業では、授業形態別(9分類)感染症予防マニュアルを作成し、家政学部全体で共有し、授業内での新型コロナ感染症予防を徹底した。

今後の課題としては、非対面型授業でも、対面型授業と同水準の教育の質を維持するために、教員間の連携強化(FD研修会での意見交換等)がある。

キャンパスでの学生生活も、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受けている。

令和2年度(2020)は、入学式を開催することができなかった。春と夏の学期の始めに行われるオリエンテーションも縮小され、学生会が主催するキャンパスミーティングや、新入生を歓迎する催しも中止になった。大学祭は、10月17日の一日のみの開催となり、学生と教職員限定で、体育館で行われた。毎年、大学祭のフィナーレを飾る手筒花火・打ち上げ花火も行われなかった。

学生食堂のテーブルにはアクリル板が設置され、飛沫対策が施された。「黙食」と書かれた紙が貼られた。授業から解放されるはずの食事の時間も、学生は新型コロナウイルス感染症を意識させられている。新型コロナウイルス感染症拡大前は普通にあった友人と気軽に語らう昼休みではなくなった。

学生生活を担当する学生委員会は、感染拡大予防ガイドライン(新しい生活様式 愛知学泉編)を作成した。「キャンパス内でのマスク着用」を始め、「キャンパス及び教室に入る際の手指消毒」「食事は、パーティションなどで仕切られた・決められた場所でとる」「換気する。密閉にならない」などを、学生・教職員にお願いしている。

毎朝の検温結果と本人・同居人の健康状態を記録する健康チェックもお願いしている。健康チェックの目的は、「感染対策への意識向上」と「感染時の経過確認・医師への提示」である。毎朝の検温で、個々が常に危機感を意識するように、また、感染した際、それまでの経緯が確認でき、医師や保健所に示せるようにと考えられた。

デルタ株、オミクロン株と、日々状況は変化している。今後も、できることを考え、学生と一緒に取り組んでいく。

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