第1節 寺部清毅理事長から寺部曉理事長へ―「建学の精神」の高揚と具現化の努力―

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私学をこよなく愛し、愛知県の私学教育をリードしてきた寺部清毅理事長は、平成8(1996)年5月10日、84年の生涯を閉じた。
同年7月6日の、梅雨時には珍しい晴れ間がのぞく午後、故寺部清毅の学園葬が、安城市民会館大ホールでしめやかに執り行われた。会場は、地域を代表する政・官・教育界の来賓をはじめ、大学・短大・高校・幼稚園の教職員および学生・生徒・園児など、1,200名を超える参列者で埋め尽くされた。

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寺部清毅理事長は安城学園の中興の祖として、建学の理念である「庶民性」と「先見性」を掲げ、「私立学校は建学の精神に基づいた教育を強力に推進することによって栄える」と、安城学園の先頭に立った。7年度の大学・短大入学式の式辞で「21世紀という時代がどんな時代になるのか、(中略)確実に言えることは、1、男女共生の時代、2、環太平洋そしてアジアの時代、3、中央の時代から地方の時代、が来るだろう、また来なければならないということです」と述べている。また、大学・短期大学の学長として、つねに自学主義を唱えた。卒業生に贈った最後の檄文「自己統治能力を鍛えよ! 編集能力を鍛えよ! 来るべき21世紀は君たちの時代である 日本・アジア・そして世界で鵬の如くはばたけ!」が、如実にそれを物語っている。
平成11年、寺部清毅前理事長の銅像が制作され、5月31日、除幕式が行われた。制作者は彫刻家大村富彦氏(2科会会友、静岡市在住、清毅と蒙斑学院の同期生であった彫刻家大村政夫氏の長男に当たる)である。

●寺部清毅略歴
明治45年 安城市に学園創立者、寺部三蔵・だいの次男として誕生。
昭和21年10月 財団法人安城学園理事長、女子専門学校校長、女子職業学校校長に就任し、教育の改革と経営の健全化に心血を注ぐ。
42年 学校法人安城学園理事長に就任。幼稚園教育から大学教育にいたるまで教育内容の充実改善に取り組む。
同時に学園の管理運営に、学校財政の近代化・健全化に、施設設備等教育環境の改善に尽力した。
愛知学泉大学学長および愛知学泉女子短期大学学長としても、つねに教育研究体制の向上と改革に情熱を注いだ。
平成元年 アメリカのニューイングランド大学から人文学博士の名誉学位が授与された。

なお、平成4年以降は次のような業績を残している。

●寺部清毅の主な業績
平成4年 学園創立80周年を迎え記念式典を挙行
11月10日 ウィーン交響楽団記念演奏会(於・名古屋市民会館ホール)
11月22日 記念式典および懇親会(於・名古屋観光ホテル)。家政学部コロキュウム、アートフェスタ、記念誌の編纂
平成5年 経営情報を統括し管理できる人材を養成する経営情報学科を経営学部に新設した
平成6年 家政学部と短大(幼児教育科は桜井)が同居している岡崎キャンパスの再開発工事に着手。家政学部に生活文化コース増設

寺部清毅理事長の死去により、平成8年5月10日付で寺部曉が理事長に就任した。同年7月11日、理事会は学長選考規程に基づき、寺部曉理事長を愛知学泉大学・愛知学泉女子短期大学の学長に任命した。寺部曉新理事長は、5年7月に理事長の職務代理者(副理事長)に就任し、7年4月からは大学・短期大学の学長業務を代行していた。
寺部曉理事長は、「庶民性と先見性」を学校法人安城学園のレーゾンデートル(存在理由)とし、それぞれの学校の建学の精神を、その時代の要請に応えて再度とらえなおすことを強調した。その基本は、「個人として自立しつつ、ありとあらゆるものと共生しうる人間の育成」である。

●寺部曉略歴
昭和23年 安城市に生まれる
平成 5年4月 岡崎城西高等学校校長に就任(~平成9年3月)。学校法人安城学園理事に就任
平成 5年7月 学校法人安城学園副理事長に就任
平成 7年4月 愛知学泉大学、愛知学泉女子短期大学学長代行に就任
平成 8年4月 学校法人安城学園理事長職務代行者に就任
平成 8年5月 学校法人安城学園理事長に就任
平成 8年7月 愛知学泉大学、愛知学泉女子短期大学学長に就任
平成 9年3月 学校法人安城学園長に就任(~現在)
平成13年3月 愛知学泉大学、愛知学泉短期大学学長に再任(~現在)

寺部曉理事長の就任から今日までの主な仕事は次のとおりである。

●寺部曉の主な業績
平成 8年1月 インターネット(GAKUSENネット)の整備
平成 9年 安城学園創立85周年記念事業として、次のものが計画され実行された
  愛知学泉大学コミュニティ政策学部の認可申請
  愛知学泉大学経営学部開設10周年記念誌の発刊
  安城学園のシンボルマークの制定
  大学・短大の歌、「いまここに」(谷川俊太郎 作詞、林光 作曲)制作
平成 9年6月 安城学園政策室の発足
平成10年4月
  愛知学泉大学コミュニティ政策学部発足
  愛知学泉女子短期大学国際教養科が岡崎キャンパスに移転
  若林キャンパスを愛知学泉文化センターとする
平成10年12月 大学・短大の歌、制定記念コンサート開催(於・豊田市コンサートホール)
平成11年 4月 安城学園高等学校、岡崎城西高等学校が男女共学に移行
平成11年 6月 学校法人安城学園報告討論会(於・西浦温泉ホテル「たつき」)
平成11年11月 「現実の問題を取り上げ、教育で繋がりながら高・大の縦の連携を構築していこう」をうたった高大教育連絡会の発足
平成12年 4月 「愛知学泉女子短期大学」を「愛知学泉短期大学」に学名変更
平成12年 5月 「募集についての重要性を認識し、系列校にとって魅力的な大学にするため情報交換のみならず連絡・協議を重視し、大学と高校の共同作業実施のコーディネーターの役割を果たす」べく、高大連絡協議会が発足
平成13年 4月 愛知学泉短期大学に男女共学を導入(幼児教育科を除く)
平成14年 4月 愛知学泉大学家政学部家政学科、定員60名の家政学専攻と、定員80名の管理栄養士専攻の2専攻体制に

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