平成5(1993)年、冨田太学校長の退職に伴い寺部曉が第6代の学校長に就任した。新学校長のもとで本校は「セルフコントロール&コミュニケーション」ができる生徒の養成をめざすことになった。この教育目標達成のため、より高い視野でより高い位置をめざした教育活動が展開された。本校の教育活動の3つの柱である「学習指導」「生徒指導」「自主活動」において、質的な転換が図られることになった。
そのなかでも、9年度からの学校5日制の導入と、学習目標に基づく学習指導システムの採用、11年度からの男女共学化は本校40年の歴史のなかでもっとも大きな改革であった。
特に学校5日制導入に関しては、本校が進学校であることから、生徒の学力低下を招かないように学校全体として入念な準備が必要であった。授業時間数の減少をカバーするため、土曜日には本校独自の教育活動を実施することにした。また、新学習指導システムを採用し、学力評価を従来の相対評価から学習目標に対する絶対評価に変更した。進学校として更なる発展を遂げるべく、14年から、課外講座、小論文ゼミ、資格試験対策講座などの新しい試みがスタートした。
安城学園の将来構想を総合的に検討する政策室は、9年10月14日、本校での中間報告会で、男女共学問題を提起した。10月下旬以降、運営委員会において、現行の問題点と見通し、共学化の是非の検討が進められるともに、11月初旬からは教科会ごとでの検討も進められた。12月9日、職員会議で経過報告がなされ、「学習指導」「生徒指導」「自主活動」の3本柱と施設設備を中心に討議する一斉教科会が開催された。
こうした検討から、共学化してプラスになるのか、共学化に教職員が対応できるのか。男子校しかできないことを今まで以上にやっていくことで将来展望は無いのか、という共学化を危倶する意見もあった。しかし、進学・クラブの実績を上げつつ、地域での評価・信頼度も定着させて、先進的に完全学校週5日制をはじめとした教育改革を推進している本校が、更にいっそうの発展をめざし、理想の学校へと近づくためには、男女共学化が更なる勢いとなる、というのが全体的な討議の流れであった。
9年12月19日の職員会議で学校長は、1.カリキュラム・コース制の問題、2.生徒指導、3.自主活動、4.施設設備、5.生徒募集の5つの検討委員会を設置、この委員会での共学化に伴う諸問題の集中審議を指示した。各委員会は、それぞれの分野において、教職員の調査・研究などの努力が不可欠であるという前提のもとで、教育改革の延長として共学移行をとらえ、改善点・再検討を要する点を指摘しながらも、共学化が、生徒募集・自主活動をはじめとして本校のいっそうの活性化につながると報告した。
男子校とは異なる諸問題が予想される生徒指導においても、「見逃さない」「見落とさない」「見放さない」という、従来からの大原則に沿って対応すれば、大きな混乱はないとまとめられた。約2カ月の集中審議を受け、10年2月の運営委員会討議を経て、2月16日、臨時職員会議が開かれ、学校長から11年度より共学移行の決定が示された。
13年度をもって女子学生は全体の23%を占め、共学化が完成した。共学校としてのスタートは順調であった。